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あおり運転の罰則を柏オフィスの弁護士が解説。暴行罪で逮捕されるって本当?

2018年10月24日
  • 交通事故・交通違反
  • あおり運転
  • 暴行罪
あおり運転の罰則を柏オフィスの弁護士が解説。暴行罪で逮捕されるって本当?

平成29年11月、都内の環状線であおり運転を行い、男性にケガをさせて逃亡したとして、千葉県在住の男が逮捕される事件が起きました。男は車間距離をつめ、しつこくクラクションを鳴らし、前方に割り込んで男性の車を衝突させたとして、危険運転致傷罪や脅迫罪に問われたようです。

あおり運転は犯罪です。あおり運転で事故を起こしたときはもちろん、事故にはならなくても、法により処罰される可能性が十分に考えられます。

具体的にはどのような罰を受けるのか、ご存じでしょうか。今回は、あおり運転に関係する罰則を中心に、柏オフィスの弁護士が解説します。

1、あおり運転の定義と具体例

あおり運転とは、他の車やバイクの走行を妨害する目的で悪質かつ危険な運転をすることです。

具体的には、次のような行為があおり運転に該当すると考えられています。

  • 車の左側から追い越し強引に割り込む
  • 車やバイクの車体ギリギリに幅寄せする
  • 車間距離を極端につめる
  • 走行の妨害目的で蛇行運転を行う
  • しつこくクラクションを鳴らし続ける


交通事故の原因があおり運転にあることが認められた場合、単純な交通事故以上に重い罪に問われるリスクがあります。また、近年の厳罰化に伴い、事故にならなくても、罪に問われ、免許証が取り消される可能性もあるでしょう。

2、あおり運転をする人の特徴と逮捕後の注意点

冒頭の事例では容疑者の男が「割り込まれて腹が立った」と述べていたようですが、運転中に起きた出来事に激高し、あおり運転に発展するケースは珍しくありません。

あおり運転をする人の特徴として、「自分は悪くない」、「そこまで危険な運転をしたつもりはない」、「相手がトロトロしているからいけない」など、罪の意識が低い傾向があることが指摘されています。制限速度オーバーなどにおいては、日常的な違反者が一定数いることから、「他の人もやっていること」だとも思いがちです。

しかし、あおり運転は、他者の命を奪うこともある危険な行為であることはいうまでもありません。どのような理由があろうと、やってはいけない行動をしてしまったという自覚と反省は必要です。

罪の意識が低いケースでは、「反省の態度が見られない」と捜査機関や裁判所が判断して、逮捕後の拘束期間が長引いたり、量刑が重くなったりする可能性があります。

3、あおり運転は何が証拠となるのか

あおり運転をしてしまったあと、逮捕されることなく帰宅できたとしましょう。特に違反で止められたわけでもないから大丈夫、と思うのは早計です。

あおり運転は、事故にならずともあおり運転をしたことによって逮捕される可能性がある行為なのです。最近は、高感度カメラを搭載した都道府県警のヘリコプターとパトカーが陸空で連携し、摘発する手法も導入されています。

しかし、後日逮捕されるときには、必ず証拠があるでしょう。加害者にとって、あおり運転を裏付ける証拠の存在は、処罰内容に影響を与える重要な問題です。ドライブレコーダーやスマートフォンカメラの映像・音声、被害者や他のドライバーなどからの目撃証言が証拠となるケースが多々あります。

近年ではあおり運転への社会的関心からカー用品店などでのドライブレコーダーの売り上げが急増しています。証拠が残されている可能性は高いと考えておいてよいでしょう。

4、あおり運転でケガや死亡事故がなかった場合の罰則

なぜ、死傷事故に至らなかったあおり運転が犯罪になるのか、どのような法律に触れるのか、また、どのような罰則に処されることになるのかを、改めて解説します。

  1. (1)刑法による処罰

    悪質なあおり運転によって、刑法犯になる可能性があります。適用される罪名は「暴行罪」「脅迫罪」などです。

    相手がケガをしなかった場合、刑法第208条で規定される「暴行罪」として、処罰対象になるおそれがあります。

    「暴行罪」は、人の身体に対して、「不法な有形力の行使」をした場合に成立する犯罪です。ケガをしたり命が脅かされたりする危険がある行為をした者は、身体への直接的な接触がなくとも、暴行罪に該当するとして逮捕される可能性があります。

    つまり、車を使用して圧力をかけ、相手を危険な状態に追い込む、あおり運転という行為そのものが、「不法な有形力の行使」であるといえるでしょう。「相手がケガをしていないこと」が、重要なポイントとなります。ケガをしたら、さらに重い罪を問うことになるためです。

    なお、暴行罪の罰則は「2年以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」または、「拘留(こうりゅう)」もしくは「科料(かりょう)」です。

    また、冒頭の事件のように、刑法第222条で規定される「脅迫罪」が適用されることもあります。たとえば、あおり運転をしながら車の窓を開け、相手に「殺すぞ」などと加害を予期させる脅迫をして、被害者に恐怖を感じさせたケースで問われる罪です。

    脅迫罪の罰則は「2年以下の懲役」または「30万円以下の罰金」です。

  2. (2)道路交通法による処罰

    道路交通法では、危険運転を取り締まるためのさまざまな規定が存在します。これらの規定に違反すると、免許証の点数制度に影響が出るだけでなく、その他の刑罰が科せられることになります。

    <あおり運転に関係する可能性がある規定と反則金、違反点数の一例>※普通車の場合
    • 進路変更禁止違反 反則金6000円、1点
    • 急ブレーキ禁止違反 反則金7000円、2点
    • 車間距離不保持違反(一般道路の反則金6000円、1点・高速道路の反則金9000円、2点)
    • 安全運転義務違反 反則金9000円、2点
    • 救護義務違反 反則金はなし(5年以下の懲役、または50万円以下の罰金)、35点


    なお、免許証の点数制度は加点方式です。危険運転致死の違反点数は62点、危険運転致傷は被害者の治療期間によって45~55点となります。実質、免許証の点数制度単独で免許取り消し処分に該当することになるでしょう。

  3. (3)危険性帯有者への行政処分

    「危険性帯有者」とは、現在、事故を起こしていなかったとしても、今後事故を起こす可能性がある運転をする人物を指します。つまり、あおり運転とみなされる行為を頻繁に行うタイプの方は、危険性帯有者とみなされる可能性があるということです。

    運転免許に関する行政処分では、通常、過去3年間の違反の累積による点数制度が用いられます。しかし、「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」と判断された方は、「危険性帯有者」として、累積点数にかかわらず最大6ヶ月の免許停止処分を行えるようになりました。

    特に悪質なあおり運転については、点数制度だけでは制御しきれないことから、道路交通法による危険性帯有者の規定が適用されることになるでしょう。

    令和2年6月より、あおり運転は厳罰化されています。詳しくは以下のコラムをご覧ください。
    >あおり運転が厳罰化! 令和2年創設の妨害運転罪について詳しく解説

5、あおり運転でケガや死亡事故があった場合の罰則

自身のあおり運転によって死傷事故を起こしてしまったケースでは、道路交通法違反としての処分にとどまりません。場合によっては、殺人犯に問われるケースもあるのです。

  1. (1)自動車運転死傷行為処罰法による処罰

    自動車運転死傷行為処罰法の「危険運転致死傷罪」または「過失運転致死傷罪」に問われる可能性があります。

    これまでの道路上の死傷事故では、危険な運転で人を死傷させたにもかかわらず刑罰が軽いことが問題視されていました。そこで、平成13年に刑法の危険運転致死傷罪が新設され、さらに厳罰化をはかるため、平成25年、刑法から独立する形で、自動車運転死傷行為処罰法の新設、刑法からの移管が行われました。

  2. (2)あおり運転で人を死傷させたときの罪の重さ

    危険運転致死傷罪は、一定の危険な状態で車を運転した結果、人を死傷させた場合に適用される罪です。人を負傷させると「15年以下の懲役」、人を死亡させると「1年以上20年以下の懲役」となります。

    危険運転致死傷罪に該当しない場合は、過失運転致死傷罪が適用されます。罰則は「7年以下の懲役」「7年以下の禁錮」「100万円以下の罰金」のいずれかです。

    なお、平成30年7月には、あおり運転による死亡事故を起こした男が刑法の「殺人罪」で起訴された事例があります。あおり運転で殺人罪が適用されたことは異例ですが、ドライブレコーダーの音声などから殺意があったと判断されたケースです。

    殺人罪の罰則は「死刑」または「無期もしくは5年以上の懲役」です。

6、あおり運転したとき、弁護士に頼るメリット

平成30年1月以降、全国的にあおり運転に対する取り締まりが強化されています。社会的な流れを受け、警視庁は、暴行罪や危険運転致死傷罪などのあらゆる法令を積極的に適用し、厳正な捜査対象とするよう、全国の警察に通達を出したのです。千葉県警でも、あおり運転をされたら、安全な場所から110番通報するよう、広く呼びかけています。

もし、あおり運転が原因で、警察から連絡が来て取り調べを受けたり、逮捕されたりしたときは、まずは弁護士に相談してください。

特に、暴行罪など刑法犯として起訴が検討されているケースでは、被害者と示談が成立することによって、起訴を回避できる可能性があります。日本の検察は大変優秀で、確実と思われる証拠がそろわない限り、起訴に踏み切ることはほとんどありません。つまり、起訴されれば99%有罪となり、前科がつくことになると考えておく必要があります。逆に、不起訴となれば、前科はつきません。

示談は本来、当事者同士の話し合いによって進められます。示談を通じて、相手に謝罪を行うとともに賠償金を支払うことで反省の意を見せ、相手には「宥恕(ゆうじょ)文言」と呼ばれる、「もう許したので罪に問わない」という意図の文を、示談書に入れることによって、刑事事件の示談は成立します。

被害者のいる犯罪を取り調べる警察や検察は、被害者感情を重視して捜査を行います。よって、示談が成立し、宥恕(ゆうじょ)文言をもらっている場合は、起訴しない可能性が高いのです。

示談交渉は、弁護士に依頼することをおすすめします。多くの被害者は圧力を与えられた加害者と、直接顔を合わせることを避ける傾向があり、交渉自体が難しいケースが少なくありません。特に事故処理が伴う場合は、相手は保険会社が委託する弁護士が対応することが多く、個人での対応は難しいと考えたほうがよいでしょう。

7、まとめ

あおり運転への社会的な関心が高まる中、あおり運転の加害者はあらゆる罰則の適用が検討され、厳しく処罰される可能性があると覚悟しておきましょう。

あおり運転によって事故を起こしてしまった場合は、早期に弁護士に相談するなどの対策が必要です。弁護士であれば被害者との示談や捜査機関への働きかけによって、不起訴処分の獲得や減刑を目指すことが期待できます。

ベリーベスト法律事務所・柏オフィスでは、刑事事件や交通事故問題の対応経験が豊富な弁護士が、力を尽くします。あおり運転によって逮捕される可能性が大きく、前科がつかないようにしたいとお考えの方は、できるだけ早いタイミングでご連絡ください。不当な結果とならないよう、全力で弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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