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変形労働時間制で働くデメリットは? 残業の考え方と計算方法も解説

2020年03月24日
  • 残業代請求
  • 変形労働時間制
  • デメリット
変形労働時間制で働くデメリットは? 残業の考え方と計算方法も解説

厚生労働省が平成31年に公表した「就労条件総合調査」からは、労働者全体のうち53.7%の労働者が変形労働時間制の適用を受けていることが分かります。
千葉県内で5番目の人口規模を誇る柏市周辺で、変形労働時間制を導入している、または導入を予定している企業にお勤めの方も少なくないことでしょう。

変形労働時間制の適用を受ける際は、従業員の側でも制度の内容やデメリットを理解するのはもちろんのこと、残業代がしっかりと支払われているかもチェックすることが大切です。
本コラムでは、変形労働時間制度の内容や残業代計算の方法を解説しつつ、変形労働時間制で働くことにデメリットがあるのかについて、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説していきます。

1、変形労働時間制とは

まず変形労働時間制について、理解を深めましょう。

  1. (1)変形労働時間制とは

    変形労働時間制は1日単位ではなく、週・月・年などの対象期間中において合計労働時間が法律で定める範囲で守られていれば、時間外労働として換算されない制度です。
    たとえば月末に忙しい会社であれば、下記のような変形労働時間制に関する規定を、労使協定または就業規則で設けることができます。

    【例】
    毎月1日から20日まで:1日あたり7時間勤務
    21日から月末まで:1日あたり9.5時間勤務

    通常労働時間は労働基準法で「1日8時間・1週間40時間」と規定されており、この時間を超えて労働した場合、使用者は時間外労働として残業代を支払わなければなりません。

    しかし変形労働時間制では、例えば前述の例で21日から月末までの間9.5時間勤務したとしても、1日から20日までの間7時間勤務で早く帰り、1か月の合計労働時間としては法律で定める範囲内に収まっている場合には時間外労働になりません。

    ただし、後述する通り変形労働時間制だからといって、時間外労働が一切発生しないわけではありません。
    また、1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は、労使協定での締結又は就業規則その他これに準じるものにルールを記載しなければいけません。1年単位、1週間単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定により定めなければならないとされています。

  2. (2)変形労働時間制の種類とは

    変形労働時間制には、次の3種類があります。

    ●1週間単位の変形労働時間制
    1週間単位で労働時間を管理する制度です。
    繁忙と閑散の違いが日ごとに生じやすい、旅館業などで導入されるケースが多いでしょう。労働時間が1週間あたり40時間以内(特例措置対象事業場を除く)で、1日あたりの労働時間が10時間以内であれば、時間外労働は発生しません。

    ●1か月単位の変形労働時間制
    1か月単位で労働時間を管理する制度で、前述の例のように月末に業務が集中して忙しいなど1か月の間に繁忙と閑散の違いが生じる場合に導入されます。

    変形期間・1か月の法定総労働時間の上限は、月の日数によって変わります。

    日数が30日ある月:171.4時間
    日数が31日ある月:177.1時間


    ●1年単位の変形労働時間制
    1年単位で労働時間を管理する制度で、1年の間に繁忙期と閑散期があるような場合に導入されます。変形期間である1年の法定総労働時間の上限は、365日の年で2085.7時間になります。
    しかし、繁忙期だからといって極端に休日を与えないで従業員を働かせるようなことはできず、1日あたりの労働時間や連続して労働できる日数などにおいて制約が設けられています。

  3. (3)フレックスタイム制との違い

    フレックスタイム制は、始業と就業の時刻を労働者自身が決めて働く制度です。
    変形労働時間制とは、労働者自身が日々の労働時間を決めるという点が大きな違いです。

2、変形労働時間制で働くデメリットとは

変形労働時間で働く場合には、閑散期には早く帰ることができてプライベートの予定も立てやすいといったメリットもあります。
しかし、しっかりとデメリットも理解しておくことが大切です。

  1. (1)繁忙期に頑張っても給与に反映されない可能性がある

    変形労働時間制の性質上、早く帰ることができる日があるというメリットを受けられる反面、繁忙期には忙しく帰宅が遅くなるというデメリットが生じることは当然ともいえます。

    しかし繁忙期に頑張って働いても、会社の指定した所定労働時間内の労働時間であれば残業代は発生せず、支払われる給料は他の時期とあまり変わらない可能性があります。
    頑張って働いた時期だからといって給与面で報われるとは限らないという点はデメリットといえるでしょう。

  2. (2)会社側の都合で運用されるリスクがある

    変形労働時間制は、労働者にとっては内容が分かりにくく正確に理解することが難しい制度といえるでしょう。
    いわゆるブラック企業の場合など、会社側が労働者側の不知を利用し、都合のいいように変形労働時間制を解釈して従業員に伝え運用するリスクがあります。
    たとえば変形労働時間制では、1日の労働時間の上限に関して制約があり、残業分を他の日の労働時間に繰り越すことはできません。
    しかし「変形労働時間制だから1日何時間でも働かせることができる」「今日残業した分は他の日に働いたことにしておく」などと会社側に強く伝えられたとしたら、そのままうのみにしてしまうケースも少なくないでしょう。

    また、運用面だけでなく協定や就業規則における変形労働時間制の規定自体が、そもそも適法でないというケースも存在しています。しかし、労働者側が深く制度を理解していないかぎり気が付くことは難しいでしょう。

  3. (3)労働時間と残業時間を区別しにくい

    変形労働時間制においては、所定の労働時間と残業時間が区別しにくいというデメリットもあります。なぜなら変形労働時間制では、1日8時間・週40時間を超える部分が残業時間になるとは限らないためです。

    そのため残業が発生していても、労働者が気付かず長時間労働を課せられるという状況も起こり得ます。

  4. (4)残業代の計算が複雑

    労働時間と残業時間を区別しにくいということは、残業代の計算が複雑になるというデメリットにつながります。

    なぜなら残業代は、どの部分が残業時間になるのかを正確に理解しておかなければ計算できないためです。そのためたとえ残業代が支払われていないことに気が付き会社側に請求しようと思っても、労働者側が正確な残業代を算出できないといった事態になる可能性があります。

3、変形労働時間制における残業代の計算方法とは

変形労働時間制における残業時間や残業代の計算方法は、通常の残業代計算と比較すると複雑です。

そこで、前述した下記具体例をもとに、「1か月単位」の変形労働時間制を導入する会社の残業時間の算出方法をみていきましょう。

【例】
毎月1日から20日まで:1日あたり7時間勤務
21日から月末まで:1日あたり9.5時間勤務

  1. (1)1日あたりの労働時間をチェック

    まず1日あたりの労働時間をチェックします。
    変形労働時間制では、1日については「8時間を超える時間を定めた日はその定めた時間を超えて労働した時間」そして「それ以外の日は8時間を超えて労働した時間」が法外残業として割増賃金の対象になります。

    本ケースでは、「9.5時間勤務の日には、9.5時間を超えて労働した時間」と「7時間勤務の日には、8時間を超えて労働した時間」が法外残業として割増賃金の対象となります。

  2. (2)1週間あたりの労働時間をチェック

    続いて、1週間あたりの労働時間をチェックします。
    変形労働時間制では、1週間については「40時間を超える定めをした週は、定めた時間を超えて労働した時間」そして「それ以外の週は、40時間を超えて労働した時間」が法外残業になります。
    ただし「1日あたりの労働時間」で法外残業としてカウントした時間は、二重で計算しないように除きます。

    本ケースでは、9.5時間勤務の日を多く含む週は「40時間を超える定めをした週」に該当する可能性があります。週の労働時間を計算して、40時間を超える定めをした週かどうかを明らかにしてから法外残業時間を算出する必要があります。

  3. (3)1か月あたりの労働時間をチェック

    最後に変形期間である、1か月あたりの労働時間をチェックします。

    変形労働時間制では、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間は法外残業時間に該当します。

    1か月あたりの法定労働時間の総枠は、前述したように日数が30日ある月では171.4時間、31日ある月では177.1時間です。

    この法定労働時間の総枠を超えている時間から、「1日あたりの労働時間」「1週間あたりの労働時間」で時間外労働としてカウントした時間を除いて法外残業時間を算出します。

    これらの(1)~(3)で得られた法外残業時間の合計×割増賃金で、法外残業代を計算することができます。

    なお、所定労働時間を超えて労働した時間のうち、上記法外残業としてカウントされなかった時間については法内残業となり、特に就業規則等に定めがない限り割増賃金の請求はできませんが、通常の賃金(100%)を請求することができます。

    正確な残業代は、就業規則などと照らし合わせて計算する必要があります。弁護士へ相談し、正確な残業代を算出した上で、会社側へ申し入れることが得策といえるでしょう。

4、まとめ

本コラムでは、制度の内容や残業代計算の方法も含めて「変形労働時間制で働くデメリット」について解説していきました。

変形労働時間制で働くデメリットの多くは、弁護士に相談することで解決が図れる可能性があります。弁護士は、的確に残業代を算出し会社に請求することができます。
また、会社側が残業代の支払いに応じない場合、あなたの代理人として会社と交渉することも可能です。個人が会社側へ申し入れしても、話し合いに応じてくれないなど誠意ある対応を望めないこともあります。弁護士が間に立つことで、トラブルを大きくしたくない会社側が、交渉に応じてくれることも期待できます。

ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士は、労働問題に真摯(しんし)に取り組み、ご希望に沿った解決を図ることができるよう全力を尽くします。まずは、あなたの状況を聞かせてください。そのうえで、ベストな解決案をしっかりとアドバイスします。
ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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