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地価が下落する? 相続を見据えて考えておきたい「生産緑地2022年問題」

2020年01月07日
  • その他
  • 生産緑地
  • 2022
地価が下落する? 相続を見据えて考えておきたい「生産緑地2022年問題」

生産緑地の所有者には、「生産緑地2022年問題」について頭を悩ませている方も少なくないことでしょう。
千葉県柏市では、平成30年12月から平成31年2月にかけて、柏市内の生産緑地所有者567人を対象に「生産緑地に関するアンケート調査」を実施しています。
調査報告では、2022年以降の生産緑地について204名が「特定生産緑地への指定を希望する」と回答し、36名が「生産緑地地区を継続する」との回答が得られています。 また「農地以外の土地として利用する」と回答したのは49名でした。一方まだ決めていないと回答している方も149人おり、まずは生産緑地の問題に対する理解を深め2022年までに方針を固めることが重要といえます。
本コラムでは「生産緑地2022年問題」について、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説していきます。

1、生産緑地とは?

  1. (1)生産緑地とは

    そもそも生産緑地とは、三大都市圏内における特定市の市街化区域内で、都市計画によって「生産緑地地区」として指定された区域内にある農地のことを意味します。首都圏にある柏市も、特定市に含まれています。
    生産緑地制度は、優先的に市街化を図るべき都市部であっても、緑のあるバランスのとれた良好な生活環境を確保する必要があることなどから実施されました。

    また、「生産緑地地区」は30年間の営農継続を前提として、農地所有者の同意を得た上で指定が行われました。生産緑地に指定されると、建物を新築することや、増改築、宅地造成を行うなど農地以外に転用をすることは原則として制限されます。

  2. (2)生産緑地の指定解除

    生産緑地の転用は原則として認められていません。しかし、次の条件を満たす場合は、市区町村長に買い取り申請をする手続きをすることで、指定を解除することが可能です。

    • 生産緑地地区の指定後30年が経過した場合
    • 主たる従事者等の死亡またはこれに準ずるような事由が発生した場合

2、生産緑地にはどのようなメリットがある?

生産緑地には30年間の営農などの厳しい制限がある一方で、主に次のような税法上の優遇措置を受けられるというメリットがあります。

  1. (1)固定資産税(都市計画税も含む)の軽減

    農地の評価額は、宅地の評価額に比べて非常に低く設定されており、「農地として評価されるか」「宅地として評価されるか」で固定資産税額が大きく変わります。

    生産緑地の指定を受けている場合は、固定資産税評価額は農地として評価されるため税負担が低く抑えられるというメリットがあります。しかし、生産緑地の指定解除を行えば、翌年からは宅地並みの固定資産税が課税されるので、注意が必要です。

  2. (2)相続税の支払い猶予

    生産緑地は、相続税の支払い猶予が認められます。

    相続税の支払い猶予とは、農業を営んでいた被相続人から、農地等を相続された農業後継者が引き続き農業を営む場合にのみ受けられる猶予です。具体的には、農業投資価格を超える部分に対応する相続税については、一定の要件のもとで納税が猶予されます。
    つまり、相続人である農業後継者が生産緑地を終身営農すれば、相続税は免除されることになるのです。
    しかし、あくまで終身営農した場合です。途中で生産緑地の指定解除を行うと、納税猶予の期限が確定したものとして、当初の相続税の申告期限までさかのぼって、猶予されていた相続税額と利子税を加えた金額を納付する必要が生じます。

3、生産緑地2022年問題とは

ここまで、生産緑地の概要について解説しましたが、2022年問題とはどういった問題なのでしょうか。

「生産緑地法」が1991年に改正されことが、ことの発端です。生産緑地は原則として農業を営み続ける必要があり、指定を解除したい場合は前述したように、指定後30年を経過するか、従事者の死亡等といった要件を満たす必要があります。この「30年」という期限は、1991年の法改正で定められました。改正の翌年である1992年に、生産緑地に指定された土地が多く存在しているのはそのためです。
そして、1992年からちょうど30年目にあたるのが、2022年なのです。つまり、1992年に指定された多くの土地が、2022年になると一斉に生産緑地地区の指定解除の条件を満たすことになります。

1992年に生産緑地が指定された際にも、不動産市場にパニックが生じました。そのため、2022年に生産緑地の指定解除がされると大量の土地が市場に供給され、地価が下がるのではないかという懸念が持たれています。

しかし、2017年に都市緑地法等の一部が改正され「特定生産緑地」の指定を受けるという選択肢が増えことにより、状況は変わりつつあります。
「特定生産緑地」の指定を受けた場合には、買い取りの申し出が可能になる時期を、10年先送りにすることができます。

また法改正に伴い、市区町村の条例によって指定の下限面積が300平方メートルまで引き下げることが可能になりました。その他、農産物直売所や農家レストランなどの設置も可能になったため、生産緑地のメリットを享受しながら一定の柔軟な活用ができることになります。
冒頭で触れた柏市のアンケート結果でも、特定生産緑地への指定の希望と回答した方が一番多かったように、想定していたよりも2022年に指定解除をする所有者が少なく懸念が現実化しないということも考えられます。

4、生産緑地2022年問題が与えうる影響とは

特定生産緑地への指定という選択肢は増えたものの、一定数が2022年に指定解除する状況は変わらないでしょう。生産緑地2022年問題は、次のような影響を及ぼす可能性があると考えられています。

  1. (1)地価への影響

    生産緑地の指定解除の条件が整い、市区町村への買い取り請求を行ったとしても、市区町村の財政状況から、買い取りができないケースがほとんどになると考えられています。市区町村が買い取りを拒否した場合は制限が解除され、農地を転用することができようになります。

    都市部の土地は、宅地として活用した場合の収益が見込めるため、生産緑地だった土地が宅地として不動産市場に放出される可能性が高いでしょう。大量の土地が放出されることにより不動産が供給過多になれば、地価の下落という影響を及ぼすことも考えられます。

  2. (2)賃貸住宅の増加による影響

    生産緑地の所有者は指定解除を受けると、翌年から宅地並みの課税になるので大幅に固定資産税・都市計画税の負担が増えることになります。
    しかし賃貸住宅として活用すれば、土地の固定資産税を大幅に抑えることができ、相続税対策にもなります。

    そのため、生産緑地の指定解除を受けて、賃貸住宅として活用することも考えられるでしょう。しかし、土地と同様に賃貸物件の供給過多になれば、賃料の下落が起こり得ます。また、生産緑地は必ずしも便利な場所にあるとは限りません。不便な場所の場合は借り手がつかず思わぬ負債を抱えたり、空き家が増加して地域の治安が悪化したりする可能性もあります。

  3. (3)所有者が負担する税額への影響

    生産緑地の指定を受けている間は、固定資産税等の軽減や相続税の支払い猶予といった税制面で、多大な優遇措置を受けることができました。
    しかし指定を解除すれば、固定資産税等は翌年からは宅地並みの課税がなされ、相続税についてはさかのぼって猶予されていた金額と、利子を支払わなければならなくなります。
    特に相続税の負担は、非常に重いものになるでしょう。
    そのため一般的には、相続税の納税猶予を利用している場合には指定解除をしない、という選択が多いと考えられています。

    生産緑地の2022年問題については、保有者の家族構成や財政状況、相続、土地の評価額などさまざまな面から検討し、将来を見据えてケースに応じた選択することが重要になります。

5、生産緑地2022年問題には、どのような解決策がある?

では、生産緑地2022年問題に対応するためには、どのような選択肢があるのでしょうか。

  1. (1)生産緑地地区を継続する

    2022年に指定解除を行わず、再び生産緑地の指定を受けて継続することもできます。
    この場合、再び30年間の営農が条件となり、現在と同様の制約のまま継続することになります。

  2. (2)特定生産緑地の指定を受ける

    生産緑地の指定解除をせずに、前述した特定生産緑地の指定を受ける方法があります。
    特定生産緑地の指定は10年ごとに再申請する必要がありますが、相続税の納税猶予を受けているケースにおける有力な解決策になると考えられます。

  3. (3)生産緑地の指定解除をして売却する

    ご自身の相続や後継者の意思を考えたときに、生産緑地として残しておくよりも売却して現金化し、資産を残した方が問題を先送りにしないで済むこともあります。
    その場合は、2022年に買い取り申請をして指定解除を行い、土地を売却します。
    相続税の納税猶予を受けていない場合には、有力な解決策になると考えられます。

  4. (4)生産緑地の指定解除をして有効活用する

    生産緑地の指定解除を行い、売却はせずにご自身が土地を有効活用することも検討できるでしょう。
    農地は戸建て用の土地よりも面積が広いことも多く、宅地化してアパートやマンションなどを建てて賃貸物件として有効活用できる可能性も高いものです。
    アパートマンション経営は、相続税対策として活用されることも少なくありません。

6、まとめ

本コラムでは、「生産緑地2022年問題」について解説していきました。
生産緑地の指定解除のタイミングである2022年を迎えるにあたり、所有する生産緑地を今後どのようにしていくべきか、可能な限り早期から考えておきたいものです。
そのためには、相続や税負担に具体的にどのような影響があるのかを専門家に相談し、対策を検討しておくことが大切です。また、2022年問題をきっかけに、先送りにしがちな相続について検討したり、見直しをしたりするのも良いのではないでしょうか。

ベリーベスト法律事務所 柏オフィスでは、税理士とも連携を図りながら相続に関する幅広いご相談に応じています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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