未成年の息子が大麻で逮捕! 逮捕されるケースと逮捕後の流れとは

2019年01月25日
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未成年の息子が大麻で逮捕! 逮捕されるケースと逮捕後の流れとは

大麻における検挙者数は近年、増加傾向が見られ、平成27年には大麻事犯検挙者数の約半数を20歳代および未成年者が占めています(出典:厚生労働省「大麻に関する現状」)。
千葉県柏市では平成29年、駐車場に駐車中の自動車の中で袋入りの乾燥大麻を所持していた男性2人組が逮捕されており、若者が大麻事件に巻き込まれる危険性は身近にあるといってもいいでしょう。
このような現状から、ある日突然「自分の子どもが大麻所持等で逮捕された……」という事態が起こることも考えられます。そうした場合、どのような段階を踏んで逮捕されるのか、逮捕後に家族としてどのように対応すればよいのかを、千葉県柏市の弁護士が順を追って解説します。

1、大麻に関する罪で逮捕される3つのケース

大麻に関する罪で逮捕される場合、逮捕理由としては大麻の「所持」「栽培」「使用」などが挙げられます。

  1. (1)所持

    大麻取締法第三条に「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」と定められています。当然ながら、大麻取扱者として免許を得ていない人が大麻を所持することは違法であり、刑罰の対象になります。 また、譲り受け、譲り渡し、輸出入も同様に逮捕の対象です。

  2. (2)栽培

    上記の法律にあるように、「大麻取扱者」以外が大麻を栽培することも違法です。栽培は、それ自体が大麻の流通や輸出入の可能性を高めるという点から、通常の所持よりも刑罰が重くなる可能性は高くなります。

  3. (3)使用

    「大麻取扱者」免許を持つ人は、大麻の取り扱いが一部許可されています。たとえば医療関係者や研究者が大麻の研究のために所持・使用するケースにおいては、一部の行為が認められています。しかし大麻取扱者ではない人が使用、かつ所持が発覚した場合は逮捕の対象となります。

2、逮捕のパターン

大麻所持等における逮捕のパターンは、大きく分けて「現行犯逮捕」と「通常逮捕」のふたつがあります。

  1. (1)現行犯逮捕

    大麻所持等で逮捕されるケースで特に多いのが「現行犯逮捕」です。現行犯逮捕にもいくつかパターンがあり、たとえば街中であきらかに不審な動きをしていて、警察官に職務質問され大麻所持が発覚する、簡単な尿検査が実施され大麻使用かつ所持が発覚する、などが挙げられます。

    また、家宅捜索にて大麻所持・栽培が発覚して現行犯逮捕されるケースもあります。この場合、たとえば大麻の購入者が逮捕されて販売ルートが特定され、家宅捜索が行われた結果、自宅での大麻の栽培が見つかってしまうというものです。
    このような家宅捜索においては、栽培されている植物が違法であるかどうかがその場で検証され、違法な植物の栽培であると判断されると現行犯逮捕となります。

  2. (2)通常逮捕

    通常逮捕とは、警察官が対象者のいる場所(自宅など)に逮捕状を持って訪れ、逮捕することをいいます。

    大麻所持や栽培における逮捕のケースはさまざまです。大麻の密売人が逮捕され、その供述によって身元が割り出されて逮捕状が出されることもあれば、大麻の購買者の供述により栽培元が発覚して逮捕となることもあります。

    明確な証拠が集まり、大麻の販売元や入手ルートなどが発覚すれば、通常逮捕となるケースが多くなります。

3、逮捕後の流れ

未成年者が大麻所持等で逮捕されたあとの流れについて見ていきましょう。

  1. (1)逮捕・送致

    大麻所持等での逮捕は他の犯罪での逮捕と同じで、まずは警察署で取り調べが行われます。取り調べは逮捕後48時間以内に行われます。この間、家族が面会することはできません。取り調べが終わると検察に送致されます。罪が軽いとみなされて送致されない場合は、そのまま釈放となります。

  2. (2)勾留

    検察に送致されると、検察官による取り調べが実施されます。検察による取り調べは送致から24時間以内に行われます。この取り調べにより、検察官は「勾留請求」をするかどうかの判断を下します。勾留することが決定されれば最大で20日間、留置所で勾留されますが、ケースによっては身柄が少年鑑別所に移される場合もあります。

  3. (3)家庭裁判所への送致

    検察での取り調べが終わると未成年者の身柄は家庭裁判所に送られます。家庭裁判所では少年審判に先だって調査官との面談や心理テストなどが行われ、犯罪を行った原因や更生の方法について検討されます。その後、家庭裁判所はその未成年者に対してどのような罰則・処分を課すか判断していきます。

4、未成年者の処分決定について

一般に未成年者が逮捕された場合、家庭裁判所によってどのような処分・措置が判断されるのかを説明していきます。

  1. (1)観護措置(かんごそち)

    観護措置とは、未成年の処分が決まるまでの一定期間、少年鑑別所にて身柄を保護する措置をいいます。この間、未成年に対するさまざまな調査や心身の鑑別が行われ、犯罪の原因や更生の可否について判断されます。観護措置が不要と判断された場合は釈放されます。

  2. (2)審判不開始

    事件の内容を調査した結果、その少年が犯罪を行ったとはいえないと判断される場合、または少年審判の必要なしと判断された場合は身柄が釈放されます。

  3. (3)少年審判

    家庭裁判所によって裁判の必要があると判断されれば少年審判が行われます。少年審判の場合、プライバシーなどの保護の観点から裁判は非公開で行われます。

    少年審判における処分には以下のようなものがあります。

    ●不処分
    少年が犯罪を行ったとはいえない場合、または処分の必要なしと判断される場合、不処分となり身柄が釈放されます。

    ●保護処分
    保護処分には「保護観察処分」と「更生施設への送致」があります。
    保護観察処分では、少年は家族の元に戻され通常の生活を送りつつ、保護観察官による生活指導が行われて更生を図っていきます。
    更生施設への送致では身柄が児童自立支援施設や児童養護施設、または少年院に送られることになります。家庭を離れて更生施設で生活を送ることにより、更生を図っていきます。

    ●児童福祉施設への送致
    未成年で児童福祉法による措置が必要と判断された場合は児童福祉施設へ送致されます。

    ●検察官への送致
    殺人・強盗といった犯罪の性質が極めて悪質である場合、または調査期間中に少年の年齢が20歳以上になって未成年とみなされない場合、家庭裁判所は再度事件を検察官に送り、検察官の判断によって起訴するかどうかが決まります。起訴が決定すれば通常の成人犯罪と同じ流れで刑罰が決まります。

5、逮捕後に家族ができること

ある日突然、家族の誰かが大麻所持等で逮捕された……そんなとき「一体どうすればいいのか」と途方に暮れてしまうことでしょう。家族の誰かが大麻所持等で逮捕された場合、家族がすべきことは何なのでしょうか?

  1. (1)家族の面会

    家族が面会できるのは、逮捕されてから原則72時間後になります。

    面会の申し込みは、警察署にて平日の昼間に行うことができます。面会時間は約20分と短いので注意が必要です。本人の言い分を聞くだけでなく、何を差し入れしてほしいかなどをよく聞いておきましょう。

    逮捕後72時間以内は面会できませんが、場合によっては差し入れだけ受け付けてくれることがあります。衣類などを用意しておき、差し入れが可能ならば渡しておきましょう。

  2. (2)弁護士への依頼

    家族は、逮捕後72時間以内は面会することができません。しかし弁護士ならば逮捕後すぐに、時間制限なく本人と面会することができます。よって、何よりも本人のことを考えるならば、まずは弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

    薬物事件は本人が「大麻とは知らないまま所持していた」「知人に頼まれただけだった」といった身に覚えのないケースもあります。そういう場合は本人が不用意に自分の罪を認めてしまわないように助言・アドバイスをすることが重要です。

    弁護士に依頼しないまま月日がたつと、いつの間にか勾留決定、さらには裁判にかけられてしまう可能性もあります。しかし、早期に弁護士へ依頼をすれば、弁護士は逮捕中に面会を行い、本人の意見や逮捕された状況を聞いたうえでアドバイスをしたり、家族に詳しく報告したり、また検察官や裁判官に勾留をしないことの働きかけをすることができます。

    弁護士の働きによって釈放されることもあるので、家族の誰かが大麻所持等で逮捕されてしまったら、一刻も早く弁護士に相談するのが賢明な判断といえます。

6、更生には家族のサポートが重要

未成年の犯罪は「処罰」よりも「更生」のほうに重きが置かれています。薬物事件が起きてしまう背景には、生活環境や人間関係になんらかの問題があることも考えられます。
家族が少年をしっかりと保護・監督し、少年の問題点を除去できる環境にあると判断されたならば、更生施設から早期に釈放されることもあります。そのため、家族がどれくらい正しいサポートと教育をできるかが重要になります。

また、逮捕されたという事実が学校に知れ渡ってしまうと、釈放されたあとでも登校しにくい、あるいは強制的に退学処分になることも考えられます。事件発覚後は学校へ早急に連絡を行い、詳しく事情を説明することも大切です。
薬物の使用が事実であったとしても、大麻を二度と使用しないために更生プログラムへ参加させる、治療・回復施設に入所させるといったサポートもできます。このあたりも家族の独断で決めるのではなく、保護観察官や弁護士と相談しつつ決めていきましょう。

7、まとめ

未成年による薬物犯罪の場合、「大麻と知らずに他人に持たされた」「無理やり吸わされた」といったケースがあります。そのような場合、弁護士は少年が逮捕後に不用意に罪をかぶってしまわないよう、また早期に釈放されるよう、さまざまな働きかけを行います。 犯罪を行ったことが事実だったとしても検察官に事情を説明し、有利に働くような弁護活動を行うこともできます。 逮捕されたあと家族内で悶々(もんもん)と悩むよりも、早急に弁護士へ依頼したほうがメリットは大きいといえます。 柏市内、または柏市近隣で、家族の誰かが大麻所持等で逮捕されてしまい困っているという方はベリーベスト法律事務所 柏オフィスまでご連絡ください。柏オフィスの弁護士が全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています