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交通事故の被害者が知っておきたい後遺障害等級認定の流れとポイント

2020年09月14日
  • 後遺障害
  • 交通事故
  • 後遺障害等級
交通事故の被害者が知っておきたい後遺障害等級認定の流れとポイント

柏市が属する千葉県は、令和元年の交通事故死者数が全国ワースト1位でした。また、柏市の令和元年の交通事故発生件数は1158件(前年比+41)、死者数6人(前年比-3)、負傷者数1336人(前年比-39)と、死傷者数は減少しているものの、発生件数は増加してしまっています。
交通事故は、意外と身近なものなのです。

事故後に症状が残ってしまった場合であっても、後遺障害等級の認定を受けることができれば、等級に応じた賠償金を受け取れるようになります。
今回は、後遺障害等級認定の制度についてベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、後遺障害等級認定について

  1. (1)後遺障害とは

    後遺障害等級認定を理解する大前提として、「後遺障害」について説明します。

    一般的に、治療を続けたにもかかわらず完治せず、将来的に回復が見込めない身体的または精神的な症状のことを「後遺症」とか「後遺障害」といったりしますが、交通事故事案における「後遺障害」とは、

    1. ①交通事故が原因であることが医学的に証明され、
    2. ②そのために労働能力が喪失または低下し、さらに、
    3. ③自動車損害賠償保障法施行令別表第一または第二に該当する症状(後遺症)がある、

    という3条件を満たした状態を指しています。

    したがって、たとえ交通事故の後に何らかの症状が残ってしまっても、上記の3条件全てに当てはまらなければ、交通事故事案における「後遺障害」としては認められないのです。

  2. (2)後遺障害等級認定とは

    上述したとおり、交通事故の後に何らかの症状が残りさえすれば直ちに後遺障害が認められるというわけではありません。
    したがって、残存した症状が後遺障害に該当するか否かを上述の条件に照らして認定する必要があります。

    また、後遺障害は、身体の部位や機能障害の程度により、1~14級までの等級と、140種類35系列に分類されていることから、当該後遺障害がいかなる等級に該当するのかについても認定する必要があります。

    このように、残存した症状が「後遺障害」として認められるか否か、認められるとしてそれがいかなる等級に該当するのかを判断し、認定することを後遺障害等級認定といいます。
    なお、自賠責保険では、労災補償を行う際に使用される「障害認定基準」の内容に準じて後遺障害等級の該当性判断をすることになっています。

2、後遺障害等級認定は誰がするの?

後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構の中の自賠責保険調査事務所という組織が行っています。具体的には、入通院中の診断書や後遺障害診断書、撮影された画像データ(レントゲンなど)等の書面資料に基づいて判断します。

審査の結果に納得がいかない場合、異議を申し立てることもできますが、異議が認められる可能性は低いといわざるをえません。自賠責保険調査事務所の判断に納得できない場合(異議が認められなかった場合)は、場合によっては自賠責紛争処理機構での審査を求め、最終的には裁判(訴訟)で争うことになります。

3、後遺障害等級が認定されるとどうなる?

自賠責損害調査事務所が後遺障害等級を認定すると、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の請求をすることができます。

  1. (1)後遺障害慰謝料

    ●後遺障害慰謝料とは
    後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる被害者の「精神的苦痛」に対する賠償金です。
    後遺障害が残ると、身体が不自由になり、仕事や生活にも支障が出るため、精神的にも極めて大きな苦痛を伴います。このような「精神的苦痛」に対する賠償金が後遺障害慰謝料です。

    ●後遺障害慰謝料の金額はどうやって決まる?
    精神的苦痛は、本来はその人の精神的な苦痛の大きさに応じ、それぞれのケースで個別に金額が決定されるべきです。とはいえ、精神的な苦痛というものは、本人の内心の問題なので、それを金額に算定し直すことはかなり困難です。そのため、後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害の等級によって基準額が定められており、最終的にはその金額を前提として決定することになります。

  2. (2)逸失利益

    ●逸失利益とは
    交通事故事件における逸失利益とは、後遺障害が残らなければ得られたであろう経済的利益のことをいいます。
    もっとも、ここでいう逸失利益は、あくまで「後遺障害によって労働能力が喪失したことによって得られなくなった経済的利益」を想定しているため、その人が今後労働して得られたであろう収入を前提として最終的な金額が決定されます。

    ●逸失利益がもらえる人、もらえない人
    上述のとおり、逸失利益は将来収入の減少分なので、事故前に無職で収入がなければ基本的に逸失利益は認められません。ただし、無職であっても家事従事者(主婦/主夫)の場合は、家事労働に経済的価値が認められるので、逸失利益を算出し、受け取ることができます。
    また、子どもや学生は、将来働いて収入を得る可能性が高いので、やはり逸失利益が認められることになります。

    ●逸失利益の金額の決め方
    逸失利益の金額の計算方法は、「基礎収入額×労働能力喪失率×ライプニッツ係数」となります。

    基礎収入額は、基本的には事故前の年収が基準になるので、事故前の収入が高い人の方が最終的な逸失利益は高くなります。
    なお、家事従事者の場合、基本的には賃金センサス第1第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とすることになります(最判昭49.7.19 判時748・23)。
    また、有職の主婦の場合であっても、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金を下回るときは平均賃金により算出することになります。

    労働能力喪失率は、認定された後遺障害等級によって大きく異なります。等級が上がると後遺障害の症状も重くなり、労働能力低下の度合いが高くなるためです。

    ライプニッツ係数とは、逸失利益の算定にあたって将来発生することが見込まれる中間利息を控除するための計算上の数字になります。

    金銭は、利率の分だけ時間の経過により一定の割合で増加していくと考えられていることから、将来的に発生するはずの逸失利益について一時金として先払いしてもらうと、利率の分だけ加害者が払いすぎてしまうことになります。そのため、それを差し引くためにこのような係数を用いることとなります。

    また、原則として、67歳まで働くことを前提に計算されるため、高齢者よりも若年者の方が労働能力喪失期間も長くなり(ライプニッツ係数が上がり)、逸失利益は高額となりやすいといえます。

4、後遺障害等級認定の方法

交通事故の被害者が後遺障害等級の認定申請をする場合、事前認定と被害者請求のどちらかの方法によることになります。

  1. (1)事前認定

    事前認定とは、加害者が任意で加入する自動車保険会社に後遺障害等級認定の申請手続きを任せる方法です。

    ●事前認定のメリット
    事前認定のメリットは、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級認定の申請手続きの一切を行うため、被害者の手間がかからないという点にあります。
    後遺障害等級認定の申請手続きは、さまざまな医療記録や必要書類を適切にそろえる必要があります。しかし、事前認定によれば、被害者は、基本的には、自分の主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、それを相手方の保険会社に送付するだけで済みます。
    怪我の治療や仕事が忙しいという場合、複雑な手続きの手間を省ける点はメリットとなるでしょう。

    ●事前認定のデメリット
    事前認定の場合、自賠責保険調査事務所とのやりとりも含め、全て相手方の任意保険会社が手続きをするため、いったいどんな書類が送られたのかは、被害者側にはわかりません。また、高い後遺障害等級が付けば、相手方の保険会社は高い保険金を払うことになるため、相手方保険会社があえて一生懸命に手続きを進めるということは期待できないでしょう。

    特に、むちうちや、事故で頭を打ったときに残る高次脳機能障害などでは、自覚症状や症状の推移などが等級を決定づける事情となりやすいため、他の傷病に比べて、より自賠責保険の調査機関にきちんと伝えるための工夫が重要です。
    事前認定では、こうした積極的な工夫までは期待できず、その点が大きなデメリットになります。

  2. (2)被害者請求

    被害者請求とは、被害者側が自分で後遺障害等級認定申請を行う方法です。加害者側の保険会社は手続きに関与せず、被害者が自分で必要書類を集めて自賠責保険調査事務所へ認定申請します。
    以前は、事前認定方式が一般的でしたが、最近は、インターネットの普及等により被害者側の知識も増えたため、被害者請求の方法をとる人も増えています。

    ●被害者請求のメリット
    被害者自身が申請をするので、自賠責保険調査事務所にどんな書類を出してどんな申請を行ったのか、明確に把握・コントロールできる点がメリットです。また、被害者の症状に合わせた細かい工夫もできるため、後遺障害等級認定のための入念な準備をすることができる点も大きなメリットといえます。

    ●被害者請求のデメリット
    被害者自身が手続きを行うということは、その手間や負担は全て被害者側にかかってきます。しかし、後遺障害等級認定とは何なのか、どこに何を提出するのか、そのためにどんな資料をどこから集めるのか、よくわからないという方がほとんどです。

    具体的には、交通事故証明書、後遺障害診断書、保険金・損害賠償額支払い請求書、事故発生状況報告書、印鑑証明書、医師による診断書と診療報酬明細書などが最低限必要です。これらを自分で抜け漏れなく全てそろえるだけでも簡単ではありません。また、これらの書類が自分の痛みや症状、事故との因果関係をきちんと証明する内容になっているのか、という重要な点についても確認しなければなりません。

    一生懸命集めた資料が、かえって自分自身の不利に働くこともあり得なくはないので、ひとつひとつの書類をきちんと精査・検討しなければなりません。
    このように、決して少なくない書類を適切に準備・提出する必要がある点が被害者請求のデメリットとなるでしょう。

  3. (3)被害者請求のデメリットを解消するには

    上述したように、被害者請求には後遺障害等級認定において大きなメリットがある一方で、手間がかかってしまうというデメリットがあります。

    そのデメリットを解消するために、交通事故の経験豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
    被害者請求を旨とする弁護士に依頼をすれば、後遺障害等級認定の申請に関する複雑な手続きを全て行ってくれます。また、後遺障害の状態は、人によって異なりますし、それによる仕事への支障も千差万別です。弁護士なら、こうした被害者の苦痛や事情を後遺障害等級認定の申請においてきちんと盛り込むことができます。

    最近の自動車保険には、弁護士費用を保険会社で負担してもらえる「弁護士費用特約」が付いていることが多いので、ぜひご自身またはご家族の自動車保険を確認してみてください。弁護士費用特約が付いていれば、基本的には費用の負担なく弁護士に依頼することができます。

    仮に弁護士費用特約が付いていなくても、弁護士に依頼することで、被害者請求における上述のメリットは得られます。
    また、弁護士に依頼をすれば、休業損害や入通院慰謝料等その他の損害賠償金も増額できる可能性が高く、弁護士費用を考慮しても経済的メリットを得られる場合があります。そのため、弁護士費用特約を利用できなくとも、弁護士への相談を検討してみてもよいでしょう。

5、まとめ

このように、交通事故で後遺症が残ったときに後遺障害等級の認定を受けるには、被害者請求の方法をとること、そのために、交通事故事件の経験が豊富な弁護士に早めに相談することがポイントとなります。特に、客観的に外部から認識することが困難であるむちうち症では、後遺障害等級認定の申請にあたって適切な準備をすることがとても重要です。

ベリーベスト法律事務所 柏オフィスでは、交通事故被害者の方の立場で、おひとりおひとり丁寧にお話をうかがっています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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