不貞行為で慰謝料を請求されたらどうする? 弁護士をつけるメリットを解説

2019年03月14日
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不貞行為で慰謝料を請求されたらどうする? 弁護士をつけるメリットを解説

不貞行為をされた側は感情的になっているケースが多く、ときには驚くほど高額な慰謝料を請求することがあります。不貞行為を働いた側としては、自らに落ち度があるのは承知の上であるため、なかなか減額交渉をしにくいことでしょう。

しかし、いくら不貞行為をしたとしても、限度なく慰謝料を支払わなければならないわけではありません。今回は、ベリーベスト法律事務所・柏オフィスの弁護士が、不貞行為によって慰謝料を請求された場合の対応方法や、弁護士に依頼したときのメリットなどについて解説します。

1、不貞行為はどのように「悪い」のか

浮気や不倫などとも呼ばれる「不貞行為」は、一般に問題のある行為とされています。しかし、法律上では「自分が嫌な気持ちになるから禁止」や「ダメなものはダメ」と言うように、曖昧な理由や根拠で行為が禁じられることはありません。

では、なぜ不貞行為をすると慰謝料が請求されてしまうのでしょうか。法律上の根拠について、まずは確認しましょう。

  1. (1)不貞行為とはどういうものか

    前述のとおり「不貞行為」とは法律上の用語であり、一般的には「不倫」や「浮気」と呼ばれます。端的に言えば、自分の配偶者ではない相手との性交渉を伴う交際が「不貞行為」と呼ばれるわけです。

    不貞行為は、他方の配偶者がその事実を知ると、本人が同意しなくとも離婚が可能となる「法定離婚事由」のひとつとなります(民法第770条1項)。不貞行為をした者は婚姻関係を破たんさせる原因を作った「有責配偶者」となり、慰謝料請求する際の根拠ともなります(民法第709条・第710条・第719条)。

    つまり、民法上で言う「不法行為」に当たるのです。

  2. (2)不法行為が成り立つ要件は何か

    不法行為による損害賠償については、民法第709条に規定されています。具体的には、故意または過失によって、他人の権利または法律上保護された利益を侵害した場合に、その侵害行為を原因として生じた損害を賠償しなければならないと定められているのです。

    「故意」か「過失」が必要なので、もしあなたが独身で、相手が既婚者だということを知らず、通常の注意を払っていても到底知ることができなかった状態で交際していたケースでは、少なくとも相手方との関係では不法行為は成立しません。ただし、この場合でも、もしあなたが既婚者であれば、自分の配偶者との関係では不貞行為となります。

    不貞行為は、相手方(自分の配偶者や不倫相手の配偶者)の婚姻共同生活上の平和を害するという意味で、権利ないし利益の侵害があると解釈されます。また、不貞行為によって生じる精神的な苦痛に対しても、法律では賠償の責任を定めています(民法第710条)。

  3. (3)不貞行為は何の義務に反しているのか

    不貞行為が「法律上問題ある行い」として認められているのは、夫婦間に「貞操義務」があると考えられているためです。貞操義務とは、夫婦がお互い以外の相手と性交しないという義務ですが、法律上にはっきりと定められたものではありません。

    ただ、民法や刑法で重婚を禁じていること(民法第732条・刑法第184条)や、不貞行為が離婚事由となること(民法第770条1項1号)から、そのような義務があると解釈されています。

2、慰謝料を請求されたらどうすればいい?

不貞行為に関して、民法によって定められている効果としては、離婚と慰謝料請求が挙げられます。他にも相手方から謝罪や交際禁止といった要求がなされることもあれば、社内不倫のケースでは解雇となることもあり得るでしょう。

ここでは不貞行為相手の配偶者から慰謝料を請求されたという状況について、確認しておきたいポイントをみておきましょう。

  1. (1)何に対してどのくらい請求されたか

    慰謝料の請求のされ方や状況は、個々で異なるものです。相手が直接、家や職場に乗り込んでくることもあれば、書面が届くこともあります。特に訴状や法律専門家からの内容証明郵便が届いた場合は、相手方の本格的に争う意図がうかがえるため、こちらも速やかに弁護士へ相談すべきでしょう。

    不貞行為をした事実もまた、内容や程度は個々のケースで異なります。相手方が、自分のやっていないことまでやったとして請求してきていないかどうかも、見落とさずチェックしましょう。また、相手方が不貞行為の事実を知ってから3年で損害賠償請求権は消滅します(民法第724条)。もし、相手方が指摘した不貞行為があった時期が過去であれば、時効にかかっていないかどうかも確認すべきです。

    以上を押さえた上で、具体的に相手がいくらの慰謝料を請求しているのかを把握しましょう。慰謝料は精神的な苦痛を金額に表したものです。つまり、法的な規定がないため、互いが合意に至ればいくらでも多く設定することが可能です。それでも、事案に応じて示談交渉を行ったり、裁判などを通じたりすることで、減額できる可能性があります。

  2. (2)慰謝料を支払う可能性が高い場合とは

    ●あなた自身が、交際相手との関係が不貞であることを知っていた
    先ほど解説したとおり、不法行為の成立には故意または過失が必要です。したがって、相手が独身だと思っていた場合は慰謝料を支払わなくてよいことがあります。

    ●あなたとの交際をする前は、相手方の結婚生活が平和であり、破綻していなかった場合
    元から婚姻生活が破綻していたと証明できるケースでは、他ならぬ不貞行為によって夫婦関係が侵害されたのだとはいえません。したがって、慰謝料をゼロにしたり、大幅に減額できたりする可能性があります。

    ●あなたから積極的に自ら不貞行為を持ちかけていた場合
    慰謝料額が高額となる可能性があるケースです。相手から誘われたのか、自分から誘ったのかは責任の重さなどを判断する材料となります。不貞行為を根拠とした慰謝料額に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。もし、あなたが断れない状況で強制的に関係を迫られているのであれば、あなたもまた被害者となるため、慰謝料を支払う必要はありません。ただし、そのことをあなた自身が証明する必要があるでしょう。

    ●時効が成立していないとき
    不貞行為を理由とした慰謝料請求にも時効があります。消滅時効が成立していれば相手方の請求権が消滅しますが、時効が成立していなければ支払いに応じる必要があるでしょう。

  3. (3)冷静に状況を確認すること

    慰謝料請求に対して取ることのできる行動は、大きく分けて3つあります。「請求された通りに支払う」「請求を拒絶する」「減額の交渉をする」です。

    いずれにしても、相手方からの請求の根拠は妥当か、慰謝料額は相場に見合ったものかといった点は確認しておくとよいでしょう。その上で、なるべく不貞行為や離婚問題について豊富に手掛けている弁護士に依頼することをおすすめします。

3、弁護士は何をしてくれるのか?

弁護士をはじめ、誰かに相談すると、逆に話を大きくしてしまうのではないかと心配している方もいるでしょう。できれば誰にも知られたくないと考える方は少なくありません。

では、不貞行為をした側にとって、弁護士に依頼するメリットはあるのでしょうか。

  1. (1)相手方との交渉を行ってくれる

    一般に、示談交渉に慣れている方はそう多くはありません。そのうえ、不貞行為をした側という負い目があるため、相手の一方的な言い分をすべて受け入れてしまう可能性があります。また、相手が弁護士を立てている場合、交渉にたけた法律の専門家を相手に交渉へ臨むのは得策とはいえないでしょう。

    弁護士に依頼すれば、個々の具体的なケースを踏まえて、適切な相場に基づいた額での交渉ができます。交渉のすべてを任せることができれば、不用意な言動であなた自身の立場を不利にすることもありません。

  2. (2)自身の配偶者との関係にも対応してくれる

    もしあなたが既婚者で、不貞行為した側であれば、相手方の配偶者からだけではなく、自分の配偶者からの離婚請求や慰謝料請求がなされることもあるでしょう。自分だけで両者を相手取るのは非常に大きな負担となりますが、弁護士に依頼することで、交渉や資料収集に費やされる労力が必要なくなります。

    不貞行為の慰謝料は、個々のケースによって大きな幅があるものです。弁護士を介するかどうかもまた、金額的にも大きな差となるでしょう。慰謝料を適切な額に抑えることによって弁護士費用分を賄えることもあります。また、弁護士に依頼するメリットは金銭面だけではありません。あなたの親や職場などには言及しない、追加の請求をしないなど、あなたにとっても必要な約束を盛り込み、書面を取り交わすことも可能です。今後の平穏な生活を視野に入れた交渉ができます。結果的には得をすることも少なくありません。

4、まとめ

不貞行為をした側であったとしても、無条件で相手方が請求してきた慰謝料額などを受け入れなければならないものではありません。不貞行為やそれがもたらした結果は個々によって内容は異なりますが、ある程度の相場というものがあります。裁判では、それを踏まえた判断がなされるのです。

裁判まで起こせば時間と費用が多大にかかるため、避けたいという相手も多いでしょう。そこで、法律の専門家で、不貞行為の慰謝料請求問題に対応した経験が豊富な弁護士に依頼して交渉に臨むことで、争いの早期解決を実現することが可能となります。

不貞行為をしてしまい慰謝料請求をされてしまったなど、ひとりでの対処が難しいときは、ベリーベスト法律事務所・柏オフィスまで相談してください。あなたに適したアドバイスを行い、代理人として交渉します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています