夫源病から解放されたい! 離婚する手順と対処法を柏の弁護士が解説
- 離婚
- 夫源病
- 離婚
- 柏
結婚した当初はそこまで気にならなかったものの、夫との生活にストレスを抱える妻について、多くのマスコミが取り上げています。平成30年7月に、とあるタレントが夫源病を理由に夫と別居状態であるという記事が世間をにぎわせたことがきっかけとなったのかもしれません。
柏市にお住まいの方でも、夫が退職した後の熟年離婚のみならず、早い段階で関係性を整理したいと考える方もいるでしょう。そこで、ここでは夫源病や離婚の成立要件、対処方法などを、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士がアドバイスします。
1、妻を悩ませる夫源病とは?
「夫源病」とは、法律用語でもありません。また、医師である石蔵文信氏によって付けられた名称であり、正式な病名ではありません。言葉が示すとおり「夫」が原因で起こるさまざまな症状を指します。
-
(1)夫源病の症状
医学的にはまだ解明されていませんが、症状として頭痛・めまい、動悸(どうき)・息切れ、不眠、胃の痛み、耳なり、全身のだるさ、肩こりなどの症状があり、夫がいる平日の夜や休日に限って発生します。また、症状はどんどん悪化していく傾向があります。
逆に夫が出張などで長期不在であると調子がよいのも特徴でしょう。夫の言動に症状が左右されることが一般的です。重症の場合は夫のことや夫の言動を思い出すだけで何らかの症状がでることもあります。
我慢していないで夫と距離をおく、時には心療内科を受診するなど早めに対処しないと、うつ病に発展してしまうこともあるので注意が必要です。 -
(2)夫源病になりやすい人
また以下のような性格を持っている人は夫源病になりやすいとされています。
- 我慢強い人
- 愚痴や弱音を吐かない人
- まじめで几帳面(きちょうめん)、責任感が強い人
- 感情表現が苦手であり、人前で怒りや悲しみなどの負の感情が出せない人
- 自分の意見を口にできず、相手に反論できない人
- くよくよ思い悩む人
- 「~でなくてはならない」という意識が強い人
- 世間体を気にする人
2、夫源病が原因で離婚することは可能?
毎日の生活を共にする夫が原因で身体に不調がでるのでは、老後の生活が心配になるものです。しかし、夫が妻にストレスを与えているという自覚を持っていることはほとんどありません。
この状況が民法の定める離婚事由に該当するかを確認してみましょう。まず、一方的な理由で離婚をするためには民法第770条に定められた5つの条件のいずれかを満たす必要があります。
- 別の女性と肉体関係を持つなどの不貞行為
- 生活費を渡さないなどの悪意の遺棄
- 3年以上生死が不明であること
- 回復する見込みがない精神障害にかかった場合
- 婚姻関係を継続するのに支障をきたす重大な理由
妻が夫に耐え難いストレスを受けており、生活の継続が難しいと判断していることから、夫源病は最後の婚姻関係の継続が難しいケースに当たる可能性があります。しかし、一方的に離婚はできません。夫源病を理由に離婚するのであれば夫が離婚に応じるか、法定離婚事由を満たしていることを立証して、争う必要があります。裁判などで争うときには、証拠が必要になるでしょう。
3、夫が離婚に応じない場合の対処方法
夫源病の原因となる夫には、上から目線の態度や、感謝の言葉はもちろん、謝罪することもない、家では不機嫌だが外面がよい、自分が養ってきたという自負が強いといった特徴があるといわれています。
そのため、妻から離婚を切り出されても身に覚えがなく、素直に応じる可能性は低いと考えられます。なかには離婚を切り出されたことに逆上する夫もいるでしょう。このように夫が離婚に応じてくれない場合は、以下の段階を経て離婚を目指しましょう。
-
(1)別居
夫の態度がより高圧的になる、離婚を拒否してくるとなると妻の心理的ストレスは増える一方です。そのため、まずは距離を取るためにもプチ別居をしてみてください。
別居をしたい意思を夫へ伝える際に、離婚に向けての別居である旨を伝えてしまうとトラブルになりやすくなります。そのため、距離をおくことで夫婦関係を見直す、再構築するための別居期間を設けたいというニュアンスで伝えることが大切です。また、別居をすることで、夫からすると夫源病の真実味が増すことに加えて、妻が本気で離婚を考えているということを理解することにもつながります。
ただし、別居は離婚事由のひとつである「婚姻関係が破綻しているかどうか」を判断する際のポイントのひとつです。別居する際の状況によって、調停や裁判で争う際に有利にも不利にも働きます。別居前に一度弁護士に相談してアドバイスを受けておくこともひとつの手です。 -
(2)離婚調停
別居をしながら話し合いなどをした後、やはり夫から離婚の同意が得られないときは離婚調停へと移ります。夫側の住所地を管轄している家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。申し立ててからおおよそ1~2ヶ月後に調停がスタートします。
調停では夫婦が同席して話し合いをすることはありません。それぞれが別室で待機し、裁判官1名と調停員2名によって進められます。また、1回の調停では同意に至ることはほとんどなく、前の調停から1ヶ月程度の間をあけて2~3回程度、調停が繰り返されます。同意に至れば調停調書が作成され、双方が裁判官と書記官立ち会いのもとで確認し、後日郵送されます。調停調書の内容は法的な文書で、一度同意したら基本的に変更はできません。 -
(3)裁判で争う
離婚調停でも同意に至らなかった場合は、最終手段として裁判で争うことになります。裁判で離婚が認められれば、夫が拒否したとしても離婚は成立します。ただし、法廷の場で「夫源病が原因で婚姻関係を継続することが難しい」と客観的に見て判断できる証拠をそろえる必要があります。
4、離婚相談は弁護士に
夫婦間でスムーズに離婚問題が解決できれば何の問題もありません。しかし、夫の存在や言動によって身体に不調が起こる夫源病を抱えている妻と自覚のない夫では、話し合いが進まないケースがほとんどでしょう。
また、離婚調停を行うのにも申立書の作成が必要ですし、裁判になった際に夫側が弁護士に離婚回避を依頼した場合、法的知識が乏しい状況は不利に働きます。
弁護士に相談することで、第三者からの冷静なアドバイスをもらえます。また、夫と直接話し合いなどの交渉をしなくて済むのでストレスも軽減されるでしょう。さらに離婚調停の書類なども依頼できるので、手続き上の負担も軽減できます。何より過去にいくつもの案件を経験していることから、交渉においても妻側に有利な条件を提示した上での早期解決が期待できます。
5、まとめ
今や社会問題ともなっている夫源病は、精神をおびやかすリスクも十分あります。そのため、精神的に安らぎのない夫との生活を拒否し、子どもが成人したら離婚したいと考える妻も増えているようです。
その一方で、離婚を受け入れてくれないのではという不安を抱え、我慢し続ける方も少なくありません。夫源病は他人からは理解されにくい面がありますが、それを理由に離婚することが可能なケースもあります。離婚をしたいと考えている方はベリーベスト法律事務所 柏オフィスにご相談ください。夫から守りつつ、離婚の成立を目指します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています