不倫相手から手切れ金の要求! 慰謝料との違いや注意すべきこととは?

2019年09月19日
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不倫相手から手切れ金の要求! 慰謝料との違いや注意すべきこととは?

千葉県柏市では、平成29年には婚姻届の提出により1875組の法律上の夫婦が誕生しています。
しかし法律上の夫婦になったとしても、さまざまなトラブルが生じるものです。
たとえば、不倫の清算の際の手切れ金をめぐるトラブルもそのひとつです。
本コラムでは、不倫相手から手切れ金を要求された場合に知っておきたいことや慰謝料との違いなどについてベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説していきます。

1、「手切れ金」に関する法律上の扱いとは

  1. (1)「手切れ金」の法律上の扱い

    手切れ金は、既婚者が不倫相手に別れを切り出した際に相手から要求されることも少なくありません。
    手切れ金は、慰謝料のような意味合いで使われることが多いですが、実は損害賠償や慰謝料のように法律上で規定されているものではありません。つまり、手切れ金を支払う義務や請求する権利は法律的にないのです。
    そのため不倫相手からの手切れ金の要求を拒否して裁判を起こされたとしても、判決で負けるということ原則としてありません。

  2. (2)任意で「手切れ金」を支払うことは自由

    手切れ金は、法的に支払う義務はありません。支払うも支払わないも個人の自由です。
    しかし、一度支払うことを合意した場合には、支払う法的義務が生じることになります。
    特に合意内容を記載した書面に押印したりサインした場合には、支払い義務を示す有力な証拠となり、後に覆すことが難しくなります。したがって手切れ金に関する書面については、慎重に検討し容易に押印やサインをしないようにすることが大切です。

2、手切れ金と慰謝料との違い

手切れ金と慰謝料はどのように違うのかについてみていきます。
不倫慰謝料と手切れ金は同じ意味で捉えられがちですが、両者は大きく異なります。
まず慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われるお金です。つまり、不法行為を受けた被害者側でなければ、慰謝料を請求することはできません。

たとえば妻Aと婚姻関係にある夫Bが、女性Cと不倫をしたとします。この場合、Aが不法行為をしたBとCに対して請求できるのが不倫慰謝料です。慰謝料請求できる権利があるのは、不法行為により精神的苦痛を被ったAのみです。
手切れ金が問題となるBC間においては、不倫慰謝料の請求は認められません。というのも不倫関係の当事者BCは共同不法行為者という加害者同士であり、お互いの不法行為の責任を追及できる立場にはないためです。

ケースによってはCが「不倫によって結婚の機会を逃した」「公にできない関係でつらい思いをした」などと、精神的苦痛を受けることもあるでしょう。
しかし法律的にみれば、不倫という不法行為に該当することを知りながら関係を続けていたのですから、BとCのどちらか一方に責任があるとはできないとされます。
なお、CがBが既婚者であることを知らなかった場合には、Cは貞操権を侵害されたことを理由に例外的にBへの賠償請求が認められる場合があります。

3、手切れ金を要求されたらどのような対処法がある?

手切れ金を要求された場合には、ケースに応じて次のような対応をとることができるでしょう。

  1. (1)手切れ金を支払う義務がないことを伝え拒否する

    手切れ金は、これまでご説明してきたように法的に支払う義務のないものです。
    不倫相手が裁判を起こしたとしても、勝てる見込みは基本的にありません。
    こういった説明で納得する相手であれば、手切れ金を要求されても拒否する対応を取ることができるでしょう。
    しかし、通常手切れ金を要求されるようなケースでは、支払い義務がないことを説明し、拒否したとしても、相手としては受け入れてくれない場合が多いでしょう。
    そのため可能な限り弁護士に相談して、直接ではなく間接的に伝えるのが好ましいといえます。

  2. (2)お金を支払って、解決を図る

    手切れ金を支払う義務はありませんが、「和解金」「示談金」といった名目で金銭を支払うことによりトラブルの解決を図る対処法もあります。
    ただし、安易に支払ってしまうと、後のトラブルのもととなるので注意が必要です。
    手切れ金を支払うときの注意点については、後ほどご説明します。
    また不倫相手が「既婚者であることを知らなかった」といった場合には、法的に損害賠償する責任が生じる可能性があります。
    こういった場合には、金銭を支払い、解決を図る必要があります。

  3. (3)弁護士に相談する

    手切れ金を要求された場合にどう対処するかで、トラブル解決にかかる時間や労力が変わってきます。対処法を誤れば深刻なトラブルに発展してしまう可能性がある一方、適切に対処すれば早期に解決できる可能性もあります。
    しかし当事者では、どう対処すべきか判断が難しいものです。
    当事者間ではどうしても感情的になり解決が図りにくいので、弁護士を介した適切な解決法で早期解決を図ることが理想的といえるでしょう。

4、手切れ金を支払うときの3つの注意点

不倫相手にお金を支払って、解決を図ろうとする場合には、主に次のような3点に注意する必要があります。

  1. (1)必ず合意内容を書面にしてから支払う

    不倫相手との関係を早く終わらせたいからといって現金で手渡ししてしまうと、後にトラブルが生じる可能性があります。
    現金で手渡ししただけでは金銭を支払った証拠が残りません。不倫相手が支払われていないと主張したり、支払ったことを認めたとしても「貸したお金を返してもらっただけだ」などと主張して再度要求されることもあるかもしれません。
    そのため必ず合意内容を「示談書」や「合意書」などの書面にして支払い条件などを確認し、書面に双方が署名押印した後に支払う方がよいといえます。

  2. (2)書面には守秘義務などに関する条項を入れる

    不倫関係を職場や家族に知られた場合には、社会的信用を失い離婚の危機に陥る事態も想定されます。
    したがって合意内容を記した書面には、守秘義務を定めた口外禁止条項を入れていく必要があります。
    また、不倫相手が別れることに納得しきれず、つきまといなどの行動にエスカレートするリスクや繰り返し手切れ金を要求するリスクなどを避けるためにも、清算条項や接触禁止条項も入れておくことが理想的です。
    先々のトラブルを未然に防ぐためにも、手切れ金を支払う際には法的に万全な書面を残しておくことが良いでしょう。

  3. (3)可能な限り一括払いで支払う

    手切れ金を支払う場合には、可能な限り一括払いで支払うべきです。
    これは分割払いにしてしまえば、支払いの都度接触することになってしまい関係が絶ちにくくなってしまうためです。

5、手切れ金を要求されたら弁護士に相談すべき理由

不倫相手に手切れ金を要求された場合には、早期に弁護士に相談すべきといえるでしょう。
その理由としては、次のような点が挙げられます。

  1. (1)適切な対処法をアドバイスできる

    弁護士は、ご相談者のケースに応じた適切な対処法をアドバイスすることができます。
    たとえば例外的に不倫相手に損害賠償を支払わなければならないケースに該当するかどうかについても、弁護士は経験や知識をもとに判断することができます。

  2. (2)直接相手と会わずに解決できる

    弁護士は、ご相談者さまに代わり、代理人として直接相手の方と交渉することができます。
    ご相談者さまが直接相手と会ってしまうと、お互いに感情的になったり関係を清算しにくくなったりするものです。
    そういった状況で、第三者である弁護士が間に入って交渉することは早期解決に役立つ可能性が高いといえるでしょう。

  3. (3)法的に万全な書面を作成できる

    手切れ金を支払う場合でも、合意内容を法的に万全な書面に残しておくことは非常に重要です。しかし、一般の方がそういった書面を作成することは通常難しいものです。
    弁護士は法的に万全な書面を作成できるので、後にトラブルが生じても有利に解決することができます。

6、まとめ

本コラムでは、不倫相手から手切れ金を要求された場合に知っておきたい慰謝料との違いや注意すべきことについて解説していきました。
ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士は、手切れ金に関する問題を早期に解決できるように尽力いたします。「手切れ金を要求されたがどうすればよいか分からない」「手切れ金を要求されるかもしれない」とお悩みの際には、ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています