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重婚的内縁とは? 相手に配偶者がいる場合は法律上保護されない?

2021年07月19日
  • その他
  • 重婚的内縁
重婚的内縁とは? 相手に配偶者がいる場合は法律上保護されない?

柏市が公表している「柏市統計書(令和2年版)」によると、令和元年度(平成31年)に婚姻をした夫婦の数は1881組で、離婚した夫婦の数は700組でした。過去の数値もみてみると、婚姻数は年々下がっているものの、離婚数は毎年一定の水準を維持している状況です。

夫婦の形としては、婚姻届を提出して法律上の婚姻関係を形成した夫婦だけでなく、婚姻届を提出していないものの法律婚の場合と同様の夫婦生活をしている内縁の夫婦がいます。さらに、内縁関係にあるパートナーに法律上の婚姻関係がある配偶者がいるという「重婚的内縁」という夫婦の形もあります。

民法では、重婚は禁止されていることから、重婚的内縁関係の場合には、内縁関係に認められる法律上の保護が認められないのでしょうか。今回は、重婚的内縁関係と法的保護の関係について、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説します。

1、重婚的内縁とは? 内縁とも愛人とも違う?

重婚的内縁とは、どのような状態のことをいうのでしょうか。また、いわゆる愛人という関係とも異なるのでしょうか。

  1. (1)重婚的内縁とは

    重婚的内縁とは、内縁関係にある夫婦の双方、または一方に法律上の婚姻関係を有する配偶者がいる状態をいいます。つまり、法律上結婚しているものの別に家庭を築いており、内縁関係になっている状態といえるでしょう。

    内縁関係が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    ① 婚姻の意思があること
    内縁関係が成立するためには、当事者双方に婚姻の意思があることが必要になります。
    単に恋人同士であるという認識にすぎない場合には、内縁関係は成立しません。当事者に婚姻の意思があったかどうかは、結婚指輪の購入、扶養配偶者としての届け出、周囲の家族や友人への紹介方法などの事情を総合考慮して判断されます。

    ② 夫婦の共同生活の実態があること
    内縁関係が成立するための条件として、上記の当事者の主観だけでなく、客観的にみても夫婦の共同生活の実態があることが必要になります。お互いに同居して生活をしており、家計も同一である状態が数年以上継続しているのであれば、夫婦の共同生活の実態は認められやすいといえます。

  2. (2)重婚的内縁と愛人との違い

    重婚的内縁は、法律上の婚姻関係にある配偶者がいるにもかかわらず、他の人と内縁関係を形成していることから、いわゆる愛人と同じではないかと考える方もいるかもしれません。

    愛人とは法的な用語ではなく、明確な定義があるわけではありませんが、一般的に、配偶者以外の人と肉体関係があり、生活の援助といった金銭のやり取りがある関係をいいます。そのため、愛人関係は内縁関係とは異なり、当事者に婚姻の意思はなく、夫婦の共同生活の実態も存在しないと考えられます。
    愛人関係にあるからといって、当然に内縁関係にあるとはいえず、重婚的内縁関係と愛人とは異なるといえるでしょう。

2、重婚的内縁は法律で保護されない?

内縁関係にある夫婦は、法律上の婚姻関係にある夫婦とほぼ同様に法律上の保護を受けることができます。では、重婚的内縁関係にある夫婦も、同様に法律上の保護を受けることができるのでしょうか。

  1. (1)重婚的内縁は原則として保護されない

    日本では、一夫一婦制が採用されているので、法律上の婚姻関係にある夫婦の一方または双方が重ねて婚姻をすることは、重婚として禁止されています(民法第732条)。

    内縁関係にある夫婦は、正式に婚姻届を提出した夫婦ではありませんが、実態としては法律上の婚姻関係にある夫婦と変わりないことから、法律上の婚姻関係にある夫婦とほぼ同様の保護が与えられます。
    しかし、法律上の婚姻関係にある夫婦で禁止されている重婚状態の場合は、重婚を禁止した趣旨を害することになります。そのため、原則として重婚的内縁関係は保護されません。

  2. (2)重婚的内縁が例外的に保護される場合とは

    重婚的内縁関係は、原則として法律上の保護は及びませんが、例外的に内縁関係と同様の法律上の保護を受けられる場合があります。
    それは、法律上の婚姻関係にある配偶者との関係が破綻・形骸化している場合です。このような場合には、重複的内縁関係にある内縁の夫婦に法律上の保護を与えたとしても、重婚を禁止した民法の趣旨を害することはないと考えられています。

    なお、法律上の婚姻関係にある配偶者との関係が破綻・形骸化しているかどうかは、次にあげるような要素を総合的に考慮して判断することになります。

    ● 別居の経緯
    法律上の婚姻関係にある配偶者と、どのような経緯で別居をするに至ったかという事情が考慮されます。別居の状態が単に単身赴任の場合や、冷却期間を設けるための別居であった場合には、一時的な別居にすぎないため、婚姻関係の破綻・形骸化の事情としては消極的な事情となります。
    他方、どちらかに法律上の離婚事由に相当するような有責性があることをきっかけとして別居に至ったときには、婚姻関係の破綻・形骸化の事情としては積極的な事情となります。

    ● 別居の期間
    別居期間が長くなればなるほど婚姻関係の破綻・形骸化を認定するにあたっては有利な事情となります。

    ● 婚姻関係を維持・修復するための努力の有無
    当事者の一方、または双方が婚姻関係を維持または修復するために努力をしていたという事情があれば、婚姻関係の破綻・形骸化の事情としては消極的な事情となります。

    ● 別居後の経済的依存の状態
    別居後に、経済的に弱い立場にある一方が、経済的に自立して生活を送ることができている場合には、配偶者に経済的に依存をしているとはいえませんので、婚姻関係の破綻・形骸化を認定するにあたっては有利な事情となります。

    ● 別居後の当事者の音信および訪問の状態
    別居後も夫婦間で交流があったという事情は、婚姻関係の破綻・形骸化の事情としては消極的な事情となります。他方、別居後、一切交流はないという状況であれば、婚姻関係の破綻・形骸化を認定するにあたっては有利な事情となります。

    ● 重婚的内縁関係の継続性
    重婚的内縁関係を保護するためには、内縁関係がある程度継続していて、内縁関係としての法的基盤を有していることが必要になります。同居期間や夫婦の実態といった内縁関係の成立要件を踏まえて、継続性が判断されることになります。

3、重婚的内縁を解消するときのお金の問題

前述したように、重婚的内縁関係においても例外的に法的保護が及ぶ場合があります。このケースでは、重婚的内縁関係を解消する場合に、お金の問題が生じることがあります。

  1. (1)慰謝料

    正当な理由なく内縁関係を解消した場合には、解消された側は慰謝料を請求する余地があります。また、内縁関係であっても配偶者以外の人と性的な関係を持った場合には、不貞行為として、慰謝料請求をする余地があります。

  2. (2)財産分与

    内縁関係を解消した場合には、財産分与を請求することができます。
    対象となる財産は、内縁関係にあった期間に内縁の夫婦双方が協力して築き上げた財産です。ただし、法律婚と異なり内縁関係はいつから始まったのかが客観的に明確ではないため、財産分与の請求にあたっては、内縁関係の始期の立証に苦労することがあります。

  3. (3)婚姻費用

    婚姻費用とは、夫婦が生活を維持するために必要な生活費のことを指します。法律上、婚姻関係にある場合は、別居をした場合にも請求できる費用です。
    しかし、法律婚の夫婦とは異なり、内縁関係は別居を時点で夫婦の共同生活の実態は解消されてしまいますので、別居後の婚姻費用を請求することは困難です。
    したがって、内縁関係解消にあたって、婚姻費用を請求することは難しいといえます。

4、重婚的内縁関係でも養育費を請求できるケース

重婚的内縁関係で子どもがいる場合、関係の解消にあたって養育費を請求することはできるのでしょうか。

  1. (1)内縁の夫と子どものとの間には法律上の親子関係はない

    養育費を請求するためには、子どもと親との間に法律上の親子関係があることが必要になります。

    法律婚の夫婦から生まれた子どもについては、嫡出子として、法律上の親子関係が生じることになります。しかし、内縁関係の夫婦から生まれた子どもについては、母親とは出産の事実から当然に親子関係が生じますが、父親とは当然には法律上の親子関係は生じません。
    したがって、内縁の夫婦に子どもができたとしても、何の手続きも行っていない場合は、法律的には父と子どもに親子関係がないため、子どもの養育費を請求することはできません。

  2. (2)認知を受けることによって養育費の請求が可能

    内縁関係の夫婦から生まれた子どもの養育費を内縁の夫に請求をするためには、内縁の夫が子ども認知する必要があります

    認知とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子どもとその父親との間に、法律上の親子関係を生じさせる手続きのことをいいます。認知の方法としては、父親が自分の意思で認知をする任意認知の方法が一般的ですが、父親が任意認知をしない場合には、調停や裁判によって強制認知を求めることもできます。

5、まとめ

重婚的内縁関係であっても、通常の内縁の夫婦と同様に法律上の保護が及ぶ場合があります。しかし、あくまでも例外的な場合ですので、法律上の保護が及ぶかどうかは、慎重に判断しなければなりません。ご自身の状況で法律上の保護が及ぶかどうかを知りたい方は、弁護士に相談して判断してもらった方がよいでしょう。

重婚的内縁関係におけるお悩みを抱えている場合は、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスまでお気軽にご相談ください。柏オフィスでは、じっくりとお話を伺うことを大切にしております。今後の進め方や費用などで、少しでも気になることがある場合は、ぜひご質問ください。問題が解決し、新しい生活を一日でも早くスタートできるよう、弁護士、スタッフが全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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