理不尽なクレームへはどのように対応すれば良いのか!?
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千葉労働局によると、平成29年に千葉県内の労働基準監督署などに寄せられた労働相談件数は4万件を超えています。
寄せられた相談内容の内訳をみると、パワハラを含む職場でのいじめや嫌がらせに関する相談がもっとも多く寄せられているようです。
しかし、いじめや嫌がらせの問題は、職場内のみで発生するとは限りません。
お店で接客業務を行っていたり、カスタマーセンターなどで顧客応対を行っていたりする従業員の方などは、顧客からの暴言や脅迫といった理不尽なクレームに悩まされている場合もあります。
こうした理不尽なクレーム問題は深刻化しており、最近ではカスタマーハラスメントという言葉までメディアで取り上げられるようになりました。厚生労働省でも対策の必要性が検討されるなどの動きがあります。
こうした顧客からの理不尽なクレームには、経営者は従業員を守るためにもケースに応じた適切な対処法をとって解決を図っていく必要があります。
本コラムでは、理不尽なクレームにはどのように対処すべきかをベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説していきます。
1、そもそもクレームとは? クレームへの基本的な対応方法
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(1)クレームとは
そもそもクレームとは、消費者が商品やサービスに不満を持ち店側に対応を求めることです。クレームというと、嫌がらせなどを目的とする不当な要求といったイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、中には正当な内容のクレームもあります。
正当なクレームには、商品やサービスの改善につながるヒントが隠されていることも往々にしてありますので、不手際や不良品について丁重に謝罪しつつ、改善策を講じることが大切と言えるでしょう。 -
(2)クレームへの基本的な対応方法
クレームを受けた場合には、店側は不当なクレームだと決めつけず消費者の意見に耳を傾ける姿勢で対応することが大切です。
そのうえで、正当なクレームであるか不当なクレームであるかを判断してそれぞれに応じた適切な対応を行っていく必要があります。
2、おびえるのはNG! 悪質クレーマーには基本的にどう対応すべき?
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(1)悪質クレーマーとは
悪質クレーマーとは、不当なクレームであることを認識しながら理不尽な要求を店側に突き付けるなど、社会通念上許される範囲を超えてクレームを行う人のことをいいます。
悪質クレーマーがする行為には、「何度もしつこく法的な根拠がないクレームを繰り返す」「従業員に土下座を強要する」「従業員や家族への危害をほのめかして脅す」などさまざまなケースがあります。 -
(2)悪質クレーマーへの基本的な対応方法
悪質クレーマーには、基本的に「要求に応じない毅然(きぜん)とした姿勢」で対応しなければなりません。おびえて言いなりになるのは、NGです。
悪質クレーマーにおびえて店側が言いなりになってしまえば、要求がエスカレートしてより深刻な事態を招いてしまうリスクがあります。
3、担当者は理不尽なクレームに具体的にどう対処すればよい?
理不尽なクレームに対して、店側の担当者は次のような対処法をとることができる可能性があります。ケースに応じて、適切な対処方法を選択していく必要があります。
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(1)適切な初期対応を行い、解決方法を探る
理不尽なクレームであっても、違法行為に該当せず適切な対処で解決する場合もあります。
初期対応では、「相手の話をよく聞く」「相手を気遣う言葉をかける」「謝罪する」「事実関係を明らかにするために分からないことや確認したいことを質問する」「これまでの聞き取りに基づいて調査を行い結果を報告することを約束する」といった手順が基本的な対応方法です。そして調査結果などから妥当な解決策を導き出し、相手に提案するなどの方法で解決方法を探っていくことができます。 -
(2)証拠を集める
理不尽なクレームが違法行為に該当する場合には、後にご説明する法的手段を検討することが考えられます。そのため、法的手段に出た場合に事実や被害を立証するための証拠を残しておく必要があります。
また、話し合いで解決する場合にも証拠が存在することは、話し合いを有利に進めるための有力な材料となります。
証拠を集める方法としては、「電話などの音声を録音しておく」「メールやファクスなどを保存しておく」「ネット上の書き込みを保存しておく」「防犯ビデオなどの映像などを残しておく」といった方法が考えられます。 -
(3)警察に相談する
店内で悪質クレーマーが理不尽な要求をして立ち退かない場合や暴れている場合などには、警察に連絡した方がよいといえるでしょう。
犯罪行為として警察で対処してもらえることに加えて、今後同じような事態が発生した場合にも素早く対応してもらえることにもつながります。 -
(4)法的手段を検討する
違法行為をする悪質クレーマーに対しては、経営者と相談して法的手段も視野に入れた対応をしていくことが考えられます。証拠をそろえて法的手段に出る準備があることを伝えることで、クレーム行為をしなくなる可能性も高いものです。
4、経営者はクレーム対策を弁護士に依頼する選択肢がある
店の担当者だけでクレームに対応しようと思っても、担当者の大きな負担になるばかりか対応方法によっては事態を深刻化させてしまうこともあります。
またクレーム対策に時間を取られることにより、人件費が増加したり従業員が辞めてしまったりといった事態も想定されます。
そのため経営者は、従業員や店を守るためにも弁護士にクレーム対応を相談することを検討するとよいでしょう。
弁護士は、法的手段についての知識や経験が豊富であり裁判になった場合でも専門家として対応することができます。
また店側の代理人として、クレームの相手と直接交渉することもできます。
弁護士がクレーム対策を行うことで、従業員の負担を軽減して労働環境を守り店の利益を守ることができる可能性が高くなるといえるでしょう。
5、弁護士が行うクレーム対応とは?
弁護士が行うクレーム対応には、次のようなものがあります。
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(1)クレームの相手と直接話し合う
弁護士は、店側の代理人としてクレームの相手と直接話し合って解決方法を探ることができます。弁護士が交渉することで、クレーム相手は裁判などの法的手段を取られる可能性があることを認識します。そのため、不当なクレームを言わなくなることも多いものです。
また理不尽なクレームの内容が過大な要求であった場合には、弁護士は法律や裁判例などの根拠を示しながら過大な要求であることを相手に納得させることができます。
同時に、弁護士はインターネット上の誹謗中傷の記事などに対しては、削除請求を行うなどの方法で対処することができます。 -
(2)法的手段で解決する
クレームの相手との話し合いで解決できなかった場合でも、弁護士は取るべき法的手段を理解しているのでその中で解決を図ることができます。
たとえば悪質クレーマーの行為は、刑事上の業務妨害や脅迫の罪に該当する場合もあります。そういった場合には、証拠をそろえて刑事告訴することができます。
早急に嫌がらせを止めたい場合には、裁判所にこうした嫌がらせ行為を禁止することを求める仮処分の申し立てをすることも考えられます。
また理不尽な要求に対して、債務不存在確認訴訟を提起して勝訴すれば正当な要求でないことを裁判所が認めたことになります。そのため、相手の理不尽な要求にこたえる必要がないことを示す有力な根拠となります。
このように、弁護士はケースに応じた法的な手段を見分けて解決を図っていくことができます。
6、まとめ
本コラムでは、理不尽なクレームにはどのように対処すべきかを解説してきました。
理不尽なクレームを受けた場合には、従業員を始め店側に大きな負担となるものでしょう。
そういった場合には、クレーム対応を顧問弁護士などに相談する選択肢があることを押さえておくとよいでしょう。
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顧問弁護士の存在は、悪質クレーマーに付け入られないようにするという効果もありますので、ご興味がある経営者の方はベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士までぜひご相談ください。
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