ネット上で風評被害を受けたときの対処法を柏市の弁護士が解説!
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千葉県柏市の統計によると、平成26年の柏市の事業所数は約1万2000件でした。
事業所の中には、ネットを活用してビジネスを展開している企業も多いものと思われます。
ネットを使った集客は、比較的低コストで大きな収益を生む可能性がある反面、風評被害によって大きな損害を被ることもあります。
風評被害を受けた場合には、いかに迅速に適切な対処法をとることができるかが被害の拡大を防ぐポイントになります。
本コラムでは、ネット上で風評被害を受けたときの対処法をベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士が解説していきます。
1、ネットの風評被害とは?
ネットの風評被害とは、インターネット上に誹謗中傷する内容を書き込まれたことによって生じる被害といえます。
インターネット上では事実が拡大して伝えられたり、そもそも事実でないことがあたかも事実であるかのように伝えられて風評被害が生じることが多いものです。
風評被害が生じやすいウェブサイトとしては、インターネットの掲示板やSNS、口コミサイトやインターネットレビューなどがあげられます。
2、ネットの風評被害が企業に与える影響
ネットの風評被害が企業に与える影響は大きく、企業の存続を揺るがすこともあります。
ネットの風評被害の具体的な影響としては、売り上げの低下や取引先からの信頼の低下などが挙げられます。そしてそういった影響が従業員の仕事へのモチベーションを低下させたり、金融機関の信用を低下させることにつながったりとさらなる悪循環を引き起こしてしまうリスクがあります。
ネットの風評被害は、どんなに企業側が注意しても起こりうるものだといえます。
しかし風評被害を放置しておくと、被害が拡大し取り返しのつかない事態にまで発展してしまう可能性があります。
そのため企業はネットの風評被害に対して、迅速に適切な対処法を取ることが重要です。
3、ネットで風評被害を受けたときの対処法とは?
ネットで風評被害を受けたときの対処法には、主に次のようなものがあります。
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(1)記事や投稿を削除する
まずは風評被害のもとになっている記事や投稿を削除する必要があります。
記事や投稿をそのままにしておくと、さらにその投稿などが拡散してしまうおそれがあるためです。 -
(2)発信者を特定する
投稿などの削除を求めたとしても、発信者を特定できなければ同様の投稿が繰り返されるおそれがあります。
そのため発信者を特定して、風評被害について民事上の責任を追及して損害賠償請求を行ったり刑事上の責任を追及するなどの方法を考えていく必要があります。
発信者を特定するために、発信者情報開示請求を行っていくことになります。 -
(3)民事責任を追及して損害賠償請求をする
発信者が特定できた場合には、発信者に対して民事上の責任を追及できる可能性があります。
具体的には、発信者に対して風評被害によって生じた売り上げの減少分などの損害賠償を求めていきます。
なお、示談がまとまらない場合や発信者が交渉に応じない場合には、裁判を提起して請求することもできます。 -
(4)刑事責任を追及する
発信者が特定できた場合には、発信者に対して刑事上の責任を追及できる可能性があります。
発信者の行為が犯罪に該当するときには、捜査機関に告発や告訴を行って刑事裁判などで責任を追及することができます。
風評被害における発信者の行為は、名誉棄損罪や業務妨害罪などに該当する可能性があります。
4、記事や投稿の削除方法
風評被害のもとになる記事や投稿の削除方法には、次のような方法があります。
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(1)ウェブフォームなどから削除依頼する
ウェブサイトの中には、削除依頼を受け付けるフォームを準備していたりメールで対応するようになっているものもあります。
まずは、こういったウェブフォームなどからサイトの管理者に削除を依頼する方法が考えられます。
ただしサイトによって対応はそれぞれ異なるので、削除依頼が通るとは限りません。
またサイト側と連絡が取れずに対応が遅れてしまうといった問題も生じる可能性があります。
なお弁護士が代理してウェブフォームなどから削除依頼をした場合には、サイト側の対応も早く迅速に投稿などを削除できる可能性は高まります。 -
(2)ガイドラインにもとづいて送信防止措置依頼をする
投稿などの削除については、IT関連企業が多く所属する一般社団法人テレコムサービス協会が作成している
ガイドラインにもとづいて送信防止措置依頼をする対処法があります。
具体的には、サイトの管理者やプロバイダに対して、依頼書に必要事項を記載して郵送して行います。
サイトの管理者などは依頼者の本人確認を行った上で、発信者に対して投稿などの削除の可否を尋ねます。
そして発信者から7日以内に反論がなければ、投稿などは削除されることになります。 -
(3)削除の仮処分を裁判所に申し立てる
削除請求の法的な手段としては民事訴訟を提起することもできますが、一般的にはより迅速に削除できる仮
処分が多く利用されています。
具体的には、サイト運営者などに対する投稿記事削除の仮処分を裁判所に申し立てます。
仮処分の申し立てがなされると、審尋が行われたり担保金を供託するなどの手続きが行われ仮処分命令が発令されます。
仮処分命令が発令された場合には相手側は削除に応じることが多いものですが、削除に応じない場合には執行の手続きをとることができます。
執行の申し立てをすれば、相手側は投稿などを削除するまで裁判所が命じた金額を支払わなければならなくなります。
5、発信者情報開示請求の方法
風評被害について発信者に責任を追及するためには、プロバイダなどに発信者の情報を開示してもらい発信者を特定する必要があります。
発信者情報開示請求の方法には、次のようなものがあります。
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(1)任意の開示手続き
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法に基づいて行うことができます。
サイト管理者やプロバイダなどに裁判などで強制的に開示するように請求することができますが、裁判等によらずとも任意で開示するように請求することもできます。
しかし実際は、任意で開示されることはそう多くありません。 -
(2)裁判所に発信者情報開示の仮処分を申し立てる
発信者情報開示請求については、削除請求と同様に仮処分が利用されることが多いものです。
発信者情報開示の仮処分を裁判所に申し立てた後の流れは、削除請求の場合とほぼ同様になります。
6、ネットの風評被害についての相談先
ネットの風評被害は、弁護士に相談するとメリットが多いものです。
ネットの風評被害については、削除請求や発信者情報開示請求の仮処分を申し立てる対処法が一般的ともいえますが、仮処分の手続きには法的な知識が要求される場面もあります。
弁護士は、仮処分の手続き熟知しており法的な専門知識を有しています。
そのため、仮処分が発令されるように迅速に進めることができ、ご相談者の負担を軽減できます。
また発信者に民事上や刑事上の責任を追及する場合には相手側と顔を合わせる機会も生じ、逆恨みを受けたりして精神的なストレスになることもあります。
しかし弁護士に相談すれば、ご相談者の代わりに弁護士が発信者と交渉するのでトラブルやストレスが生じることを未然に防ぐこともできます。
また任意の削除請求や開示請求は、弁護士のみが代理することができる行為です。
ネットの風評被害に悩んだときには、どのような対処法をとるかも含めて弁護士に相談してみるとよいといえるでしょう。
7、まとめ
本コラムでは、ネットで風評被害を受けたときの対処法を解説していきました。
風評被害を受けたときには、迅速に投稿などの削除や発信者の特定に向けて行動することが被害の拡大を防ぎます。
ベリーベスト法律事務所 柏オフィスの弁護士は、風評被害が広がらないようにご相談者と最善の策を考え迅速に行動いたします。
また発信者への対応も含めて解決に向けて尽力いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています