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遺言と異なる遺産分割は認められる? 遺言がある場合の遺産分割の方法

2021年08月11日
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遺言と異なる遺産分割は認められる? 遺言がある場合の遺産分割の方法

東葛地域の中核として発展を続ける柏市は、平成23年から令和2年までの10年間で人口が約7.6%増加しました。年齢別にみると、65歳以上の高齢者人口は約37.7%の増加をみせています。

高齢化、長寿社会が進む中で、相続にまつわるお悩みを抱える方は少なくありません。
遺産を巡る紛争回避やスムーズな財産の引き継ぎという点において、遺言は大きな効果があるので、遺言書があれば相続人の負担は軽減されると考えられます。しかし、遺言の内容が遺族にとっては必ずしも合理的ではないこともあります。そのような場合、遺言と異なる内容で遺産分割をすることはできるのでしょうか。

本コラムでは、遺言と異なる遺産分割をすることが可能なのかと、その方法や注意点について、柏オフィスの弁護士が解説します。

(出典:柏市統計書 令和2年版)

1、遺言と異なる内容で遺産分割をすることはできる?

遺言の内容に不満があったとしても、ただそれだけを理由にして遺言を無効にすることはできません。遺言と異なる遺産分割をしたいと考えた場合は、相続人などと遺産分割協議を行って新たな法律関係を形成するという手順を踏む必要があります。
その具体的な方法について解説します。

  1. (1)遺言と遺産分割の違い

    遺言は、財産を残す人にとって自身の財産の処分方法を定める意思表示であり、相続手続きにおいては原則として相続人の意思よりも優先されます

    一方、遺産分割協議は、遺産をどのように分けるのかを相続人全員の合意により決める手続きです。相続人全員の合意があれば、誰が何を相続するのか自由に決めることができます。遺産分割協議は、相続人のニーズに合致する遺産分割が可能というメリットがありますが、意見が合致せずにもめることが多いのがデメリットといえます。

    遺言と遺産分割協議は相反する手続きのようにみえますが、遺言により具体的に誰が何を相続するのか指定されていない財産がある場合も、遺産分割協議を行う必要があります。
    遺産分割協議には、遺言を補完する機能もあるのです。

  2. (2)遺留分が侵害された場合

    遺言で無視できないのが、相続人の遺留分という権利です。遺留分とは、法定相続人に保障された一定の割合の相続財産のことを指します。

    遺留分が認められるのは、被相続人(亡くなった方)の配偶者や子ども(孫)、親や祖父母が相続人となる場合です。遺言により、遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求により解決を図るのもひとつの方法といえます。

    なお、ベリーベスト法律事務所では、相続人の構成に応じて、法定相続分や遺留分が幾らになるのかを無料で簡単に計算できるツールをホームページ上で公開していますので、ぜひご利用ください。

  3. (3)遺言と異なる遺産分割をする具体的な方法

    遺言により遺産を承継、処分する方法は、大まかに三つのパターンがあります。

    ①相続分の指定がされている場合(民法第902条)
    遺言者(被相続人)は、各相続人の相続割合を遺言で定めることができます。
    『全財産を3分の1ずつわける』『次男の相続分を2分の1とする』などと、相続割合のみが遺言で指定するケースです。

    この遺言では、どの財産を誰が相続するのかは指定されないため、具体的な分割方法を定めるため遺産分割協議を行う必要があります

    なお、遺産分割は相続人全員の合意により成立するため、結果的に指定相続分と異なる遺産分割になったとしても特に問題にはなりません。

    ②遺産分割方法が指定されている場合(民法第908条)
    『○○の土地を長女に相続させる』『××預貯金を長男に相続させる』というように、遺言で具体的な分割方法が指定されているパターンです。

    このケースでは、相続の開始(遺言者の死亡)と同時に指定された財産の権利は指定された相続人に移転するため、遺産分割協議を行う余地はありません。しかし、遺言により取得した財産を他の相続人へ譲渡したり交換したりすることは可能です。
    厳密にはこれらの行為は遺産分割とはいえませんが、一般的によく用いられる手法です。

    ③第三者に遺産が遺贈されている場合(民法第964条)
    遺贈とは、遺言により遺産を譲渡する行為であり、相続とは異なる概念です。
    遺贈を受ける人(受遺者)は、相続人であっても第三者(個人・法人)であっても構いません。

    受遺者が相続人である場合は、結果としては相続と変わらないことになります。
    他方、受遺者が第三者である場合は、遺言の内容が相続財産の全部または一定の割合を遺贈する「包括遺贈」なのか、特定の財産を遺贈する「特定遺贈」のいずれかによって、次のように立場が異なってきます。

      包括遺贈 特定遺贈
    遺産分割協議への関与 あり なし
    遺言者の借金 指定された割合を承継する 承継しない
    遺贈の放棄 相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で申述 いつでもできる


    包括遺贈を受けた受遺者は、相続人と同一の権利義務を負うことになります(民法第990条)。そのため、遺言と異なる遺産分割をしたい場合は、受遺者に遺贈を放棄してもらうか、受遺者も加わった遺産分割協議で合意を取り付ける必要があります。

    一方で、特定遺贈を受けた受遺者は遺産分割協議に関与することはできません。
    遺贈された財産を相続人が取得したい場合には、受遺者に遺贈の放棄をしてもらうか、遺産分割の手続き外で受遺者からその財産を譲渡してもらうほかありません。

  4. (4)その他の注意点

    遺言と異なる遺産分割をする場合は、次のような遺言特有の問題にも注意する必要があります。

    ●遺言の内容が相続人や受遺者に了知されていることが前提
    遺言と異なる遺産分割をする場合は、全相続人や受遺者の合意がポイントとなります。これは、遺言の内容を正確に把握したうえで、それと異なる遺産分割を行うことを関係者が了知していることを意味します。

    遺言内容に不満を持った相続人が、遺言の存在を隠したり内容を偽ったりすると、相続欠格事由に該当して相続人の資格を失う可能性もあります(民法891条5号)。

    ●遺言で遺産分割が禁止されていないこと
    遺言者は5年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁止することができます(民法第908条)。未成年の相続人がおり、その成人を待って遺産分割をさせたい場合などに、このような遺言がされることがあります。

    ●遺言執行者がいる場合はその同意があること
    遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために相続財産の管理や遺言の執行に必要な行為をする権限がある人です(民法1012条)。
    遺言執行者による遺言執行を妨害する行為は無効となるため、相続人は遺言執行者の同意を得たうえで遺産分割を進める必要があります。

2、分割の方法が指定された不動産がある場合は登記に注意

遺産に不動産が含まれる場合は、遺産分割の結果を登記に反映させる必要があります。

遺言の内容どおりか、遺産分割により不動産を取得する場合は、相続や遺贈を原因とする登記名義の変更を行うことで特に問題はありません。

しかし、『○○土地をAに相続させる』、『○○土地をAに遺贈する』というように、分割の方法が指定(または特定遺贈)された不動産がある場合は注意が必要です。このようなケースで不動産をBが取得すると、『遺言者→A』『A→B』と2回の権利変動が発生することになります。
不動産登記の場合は、実際の権利関係の変動どおりに、基本的には2回の登記手続きを行う必要があるとされています。

なお、不動産登記には不動産の固定資産評価額に次の税率をかけた登録免許税が必要です。不動産の価値が高額であれば、2回分の登録免許税もかなりの負担となるでしょう。

  • 相続:1000分の4
  • 交換・贈与:1000分の20


ただし、相続登記を促すため、平成30年4月1日から土地の相続で一定の要件を満たす場合に、相続登記の登録免許税が免除されています。数次相続があって一代前の相続登記ができていない場合に適用されるほか、評価額が低い土地の相続登記についても適用されます。
これらの免税措置は、令和3年3月31日までに登記の申請をした場合に有効ですが、期日は令和4年3月31日まで1年間延長される予定です。
なお、建物の相続登記にかかる登録免許税は免税になりません。

3、相続税に関する注意点

相続が発生すると、遺産の総額に応じた税率の相続税が課税されます。
遺言の対象が相続人だけであれば、遺言と異なる遺産分割をしたとしても、遺産の総額に変動がなければ相続税には影響はありません。また、たとえ相続人間で贈与や交換を行ったとしても、基本的には贈与税の課税も生じません。

なお、あまり多くはないケースですが、相続人ではない特定受遺者に遺贈された財産を、相続人と受遺者で交換するような場合は注意が必要です。

特定受遺者は遺産分割協議に参加する権利がないため、交換する場合は、いったん遺贈を受けた後に交換するほか手段がありません。そのため、遺贈された財産には相続税がかかり、譲渡益に対しては所得税が課税されると考えられます。

また相続人以外と配偶者・一親等の親族以外が財産を相続すると相続税が2割加算になり、通常よりも相続税が高くなります。

4、遺産分割でもめた場合の対処法

遺言と異なる遺産分割をすることで相続人や受遺者などの合意が得られたとしても、実際に遺産分割協議を行った結果、足並みがそろわないということもよくあります。

相続の手続きは法律に従って進める必要があり、遺産分割協議も法律を踏まえたうえで意見交換をすることが肝心といえます。しかし、親族や利害関係者のみで、冷静に話し合いをすすめるのは簡単ではなく、時に大きなトラブルに発展してしまうことも少なくありません。

遺産分割で意見の対立などがあり、トラブルが発生しそうであれば、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
相続問題の対応実績が豊富な弁護士は、法的な知識はもちろん、状況に適した最善の解決案へ導くためのノウハウを持ち合わせており、相続における最適なサポート役といえます
また、代理人として遺産分割協議に参加することもできるので、冷静な話し合いによって、早期に協議がまとまることにも期待できるでしょう。

5、まとめ

被相続人(故人)が生前、遺言書の内容をしらせていなければ、故人が亡くなってから遺言の内容を知ることになります。
遺言の内容が相続人にとって受け入れがたいものであった場合は、全相続人および受遺者の合意があれば、遺言と異なる遺産分割を行うことも可能です。ただし、遺言の内容を前提としたうえで、新たな法律関係を形成することになり、法的知識も少なからず必要となります。

相続についてトラブルを抱えている方やお悩みの方は、お早めにベリーベスト法律事務所 柏オフィスにご相談ください。相続の手続きは、多くの方が初めて経験するにもかかわらず、『知らなかった』では済まされない落とし穴も少なくありません。
相続問題の経験が豊富な弁護士が、事案が解決するまでしっかりとサポートしますので、ぜひお任せください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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