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求人情報と実際の労働条件が違う! 違法になるケースと対処法

2021年05月27日
  • 労働条件・ハラスメント
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求人情報と実際の労働条件が違う! 違法になるケースと対処法

柏労働基準監督署を管轄する千葉労働局は、労働基準関係法違反が認められた事案を公開しています。内容をみると、必要な教育を実施していなかったケースや定期代を支給していなかったケースなど、実にさまざまなトラブルが発生していることがわかります。

このような勤務先とのトラブルは、実際に働き続けるなかで発生するというケースがほとんどでしょう。しかし、求人広告などの情報を頼りに転職を決めたのに、実際に勤務してみると勤務地や給与などの条件が異なっていたといった場合、困惑すると同時に、この先どうするべきか頭を抱えることになってしまいます。

そこで、本コラムでは、入社前の段階で示されていた条件が実際の労働条件と異なった場合にどのように対応するべきかについて、柏オフィスの弁護士が解説します。
場合によっては損害賠償を請求できる可能性もあるので、あきらめずに最善を尽くしましょう。

1、求人広告と実際の条件が違う! 違法になるのか?

ハローワークで公開されている情報やコンビニなどで販売されている求人情報誌、インターネット上の求人情報サイトや転職サイトなどには、各企業が提示するさまざまな求人広告が記載されています。当然ながら、これから転職しようと考えている方は、各企業が提示した条件を信じて応募するはずです。

ところが、実際に転職して勤務をはじめると求人時とは条件が異なっているというケースもあります。想定していたよりも好待遇であれば問題ないかもしれませんが、求人時の条件よりも悪い待遇であれば大きな問題です。求人広告などで提示した条件と実際の労働条件が異なるのは、違法ではないのでしょうか。

  1. (1)求人広告の条件=労働条件とはいえない

    求人広告の条件をみた転職者は、記載されている条件で働かせてもらえると考えるはずです。労働時間、休日数、給与・ボーナスや各種手当の支給、福利厚生など、新たな勤務先にこれからの生活を託すことになるので、実際の条件が異なれば大きな問題となります。

    直ちに「不当だ」と声をあげたいところですが、実は求人時に提示された各条件と実際の労働条件が異なっていても、直ちに違法であるとはいえません。

    ハローワークに提出する求人票や求人情報誌などに掲載する求人は「労働契約の申し込みの誘引」にあたります。掲載する条件はあくまでも見込みにすぎないため、求人広告の条件がそのまま労働条件とイコールにならなくても、直ちに違法とはいえないのです

    労働契約は、採用前の面接などで実際の労働条件を提示され、求職者がこれに合意することで成立します。そのため、求人などに提示された条件と実際の労働条件に違いがあったとしても、求職者が最終的に実際の労働条件に同意して契約を結んだのであれば、その契約は基本的には有効に成立します。

  2. (2)条件の変更ありきなら違法の可能性も

    求人時の条件と実際の労働条件が異なっていたとしても、直ちに違法となるわけではありません。ただし、求職者を集めるために最初から変更ありきで好条件を提示し、採用後は著しく不利な条件で労働に従事させた場合は、いわゆる求人詐欺の可能性があります。

    すなわち、虚偽の広告・条件によって労働者を募集する行為は、職業安定法第65条8号の違反にあたり、事業者には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

2、損害賠償を請求できるケース

求人時の条件と実際の労働条件が異なっていた場合、状況によっては会社を相手に損害賠償を請求できる可能性があります。
参考となる実際の事例を元に解説します。

【東京高等裁判所 平成12年4月19日】
この事例では、中途採用を目的とした会社側が求人情報誌に「給与面では同年次新卒者の給与からスタート」と記載していました。ところが、実際には本給テーブルが新卒者の下限に格付けされていたためこれに反論したところ「採用時は下限にすることが決まっているが、努力次第で上がっていく」との回答を受けてしまいます。

裁判所は「労働基準法第15条1項(労働条件の明示)の違反と、雇用契約締結に至る過程における信義誠実の原則に反する」と示し、会社側に対して精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命じました。


面接などの機会において実際の給与額を明示していれば求職者が集まらないことを知っていて、変更ありきで実際とは異なった条件を提示した点が「信義誠実に反する」と判断された事案です。
採用時に示される条件は「見込み」であるため、たとえ実際の条件とは異なっていても直ちに違法となるわけではありませんが、会社側が応募者に誤解を招く条件提示をしていれば損害賠償請求が認められる可能性があります。

もっとも、この裁判例では、他の点でも会社側に不法行為責任が認められており、それらを総合して慰謝料の支払いが命じられています。そのため、事前に提示された条件と実際の条件が異なっていた場合に、そのことのみをもって必ず慰謝料請求が認められると判断したものではないという点は注意が必要です。

3、転職後の待遇が求人時の条件と異なっていた場合の対処法

求人時の条件と待遇が異なっている場合は、どのように対処するべきなのでしょうか?
状況別に、対応を確認していきましょう。

  1. (1)入社する前に気が付いた場合

    面談時や、内定決定後に明らかな相違に気が付いたときは、一度会社側へ確認と説明を求めます。この時点で、明確な回答が得られない場合や、誠意ある対応をしてもらえない場合は、残念ですが就職は見送るべきです。転職時は気持ちが焦るものですが、たとえそのまま就職したとしても良い結果にはつながらないかもしれません。

    なお、内定を辞退すること自体は、労働者の自由であり基本的には違法ではありません。万が一、会社側から損害賠償を請求されるなどのトラブルに発展した場合は、弁護士へご相談いただくことをおすすめします。

  2. (2)入社後に気が付いた場合

    入社後に気が付いた場合は、労働契約締結時の状況によって対応が異なります。

    ● 労働契約時に労働条件等について説明がなされている場合
    求人広告とは異なる内容の労働条件について、会社側から説明を受けたり、そのような労働条件が記載された労働契約書を提示されたりしたうえで労働契約を締結して入社していた場合、特段の事情がない限り、労働者側は会社側から提示された内容に合意したと判断される可能性が高くなります。この場合は、求人内容との差異について会社側へ請求するのは難しいでしょう。

    なお、契約内容と実際の勤務状況において、賃金や労働時間が異なる場合、労働者は即時で労働契約を解除(退職)することが認められています(労働基準法 第15条2項)。

    ● 労働契約手続きを厳密に行っていない場合
    あまり望ましいことではありませんが、入社時に労働契約の手続きが十分になされず、口頭での簡単な説明のみで入社して仕事を開始する場合もありえます。そのような場合は、採用時の求人内容以外に特段の説明がなされていなければ、求人内容のとおりの条件で労働契約が成立していると考えられます。会社側の一存で、減給などを行うことは認められません。

    入社後も、会社から具体的な労働条件などを提示されないようであれば、会社側へ求人内容に準じた対応を求めましょう。

4、労働条件などに関するトラブルの相談先

では、労働条件で転職先の会社と認識の相違が発生した場合、どのように対応するべきなのでしょうか。

  1. (1)会社に説明を求める

    いずれのケースでも、まずは会社に説明を求めることからスタートします。
    会社が話し合いに応じ、労働条件が見直されるようであれば、問題はありません。退職をする必要もなく、新しい環境でスタートを切れるでしょう。

    ただし、労働者が個人で申し入れても会社側から誠意ある対応が望めないケースもあります。前述した事例のように「会社の決まりだ」などと反論を受けてしまい、話し合いにすら応じないことも想定されます。また、内定を辞退や即時退職をするなら、損害賠償を請求するなどと、強固な対応をとられるおそれもあるでしょう。このようなケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    求人時に提示された条件と実際の労働条件に大きな差があり、労働契約の申し込みの誘引に際して虚偽があれば、労働基準法や職業安定法に違反している可能性があります。
    このようなケースでは、管轄の労働基準監督署に相談するのも一案です。労働基準監督署から会社に対する指導や是正勧告を発してもらえれば、労働条件が改善される可能性があるでしょう。

    ただし、労働基準監督署の指導・是正勧告には強制力がなく、また労働基準監督署は個人のトラブルに対して個別に対応はしてくれないという点を理解しておく必要があります。

  3. (3)弁護士へ相談する

    労働条件についてトラブルを抱えている場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
    労働者が会社に対して申し入れを行うのは、簡単なことではありません。まして、転職したばかりであれば、なおさらでしょう。
    弁護士は代理人となれるため、会社への申し入れ、交渉を一任することが可能です。退職をしたいのか、労働条件を見直したいのか、未払い分の賃金などを請求したいのか、希望する内容によって、対応は異なります。弁護士であれば、先々も見据えたうえで、適切な対応をとることが可能です

    また、会社から損害賠償を請求されるといったトラブルに発展してしまい、訴訟になったよう場合でも、弁護士に依頼していれば、全面的にサポートを受けることができるので安心です。

    労働条件に関するトラブルを抱えたまま仕事を続けることは容易ではありません。精神的な負担も重くなるので、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、適切なサポートを受けたうえで解決に向けたアクションを起こしましょう。

5、まとめ

求人広告などで公開されている条件が実際の労働条件と違っていても、直ちに違法となるわけではありません。ただし、会社側が条件の変更ありきで求人した場合は、違法となる可能性もあります。

転職先にあたり労働条件や賃金などに関してトラブルを抱えている場合は、ベリーベスト法律事務所 柏オフィスへご相談ください。労働トラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士がしっかりとお話を伺い、最善の形で解決できるよう全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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